プレゼンテーション大会やコンクールなど、体育会系以外の分野で実績のある県内の高校生がそれぞれの活動を紹介し合うイベント「CHEM佐賀(ケムさが)」が今月9日、佐賀市の佐賀大学本庄キャンパスで開かれた。高校生8組と中学生の特別ゲストの計9組が、磨いた技能の成果や地域おこしへの取り組み、好きな物の魅力、昨年県内で開かれた全国高校総合文化祭の回顧など、個性豊かな発表を繰り広げた。9回目となった発表会の内容を詳報する。

CHEM佐賀9で発表を行った生徒たち=佐賀市の佐賀大本庄キャンパス

 

唐津南高・虹ノ松原PT 美観保全へ幅広い活動

自分たちの取り組みについて発表する唐津南高の虹ノ松原プロジェクトチーム

 唐津南高虹ノ松原プロジェクトチーム(PT)は、国の特別名勝・虹ノ松原の保全に向けた活動を説明した。「白砂青松」と呼ばれる美観が近年、管理が行き届かず荒れているとし、松原の資源を使う「商品開発」と、売り上げを松原に還元する「循環型プランの構築」に幅広い角度から取り組んだ。
 2019さが総文郷土研究部門で3位に輝いた同チーム。松ぼっくりの表面にある微細な穴が香りを吸着すると考え、瓶入りのポプリ「松ポップリ」を作るワークショップを考案。市場調査の結果も踏まえ体験料を500円と設定したことや、海外研修先でも好評で外国人観光客向けに販売するアイデア、松ぼっくりなどを採取・販売する許可を得るため佐賀森林管理署に掛け合った経緯も伝えた。
 まとめとして「これからも地域と連携し、虹ノ松原をとわにつないでいく」と抱負を語った。★動画はこちら

 

致遠館高・加藤りんさん 食品サンプルの魅力を熱弁

食品サンプルの魅力について発表する加藤りんさん

 致遠館高2年の加藤りんさんは「高校生ICT利活用プレゼンテーション大会」の個人部門で最優秀を受賞した発表を再現し、食品サンプルの魅力を紹介した。食品サンプルの役割について「一番おいしそうな瞬間を伝える」「言語の壁を越える」「リアルサイズを伝える」とまとめた。
 卵かけごはんや天丼、牛丼などの写真をスクリーン上に映し、本物か食品サンプルかを当てるクイズを実施。食品サンプルの中でも食べかけを再現した物は「デザイン性が優れている」と太鼓判を押した。すしをしょうゆにつけようとする瞬間を捉えた「つまみ系」や炭酸のシュワシュワ感を表現する「ドリンク系」などが存在することも紹介した。
 店外に食品サンプルが並ぶ利点について「客側は待ち時間中に注文を選ぶ手助けをしてもらい、店側は客がメニューを選ぶスピードが上がり効率的」と主張した。★動画はこちら

 

唐津南高・中川和香さん 菓子作りの過程生き生き紹介

虹の松原に関する朗読を行う中川和香さん

 「青々と茂る若葉、爽やかな空気と松の香りに包まれ…」。冒頭から、すがすがしい声と情景描写で聴衆を引きつけた唐津南高食品流通科2年の中川和香(のどか)さん。昨年10月にあった県高校総合文化祭の弁論部門で最優秀賞に輝いた発表を再現し、虹ノ松原の保全を目指して取り組んだ菓子製造について生き生きと紹介した。
 中川さんは昨年の全国高校総合文化祭に合わせ、日頃学んでいる食品製造技術を生かし、松原をPRするかりんとうを開発。松葉パウダーを使うアイデアや、かつてあった唐津銘菓のかりんとう「松のみどり」を“復活”させるというひらめきを得る過程も説明し、発表ではそのときの晴れやかな気持ちも声色に込めた。
 今後は販売化に向け取り組むといい、中川さんは「高校生のちっぽけな力だとしても、できることがある」と実感を語った。★動画はこちら

 

佐賀工高・高祖拓実さん 動画で電気工事を説明

電気工事や配線について自らの体験などを語る高祖拓実さん

 昨年夏に開かれた全国若年者ものづくり競技大会で、大学生も含む中で電気工事部門の最高賞に輝いた高祖拓実さん(佐賀工業高3年)。動画も見せながら大会や電気工事の仕事について紹介し、その重要性や目標を語った。
 大会は、課題で示された通りの配線工事を、180センチ四方の木製板に2時間半で行い、法令順守や出来栄えなどを競う。発表では、高祖さんが大会で実際に作業した2時間半を早送りで紹介。「ケーブルは軟らかい素材なので扱いに注意した」「線同士の接続は、間違うと(機構が)動かないので集中する作業」などと要所で解説も加えた。
 卒業後は技能を生かして就職することを明かし「電気はみんな使っている。電気工事は現代社会を支える重要な仕事。学んだ技術や知識を生かし、同僚と助け合いながらよりよいものづくりに携わっていきたい」とまとめた。★動画はこちら

 

唐津南高・虹ノ松原班 字がうまい担当 虹ノ松原で人を結ぶ

自分たちの取り組みについて発表する唐津南高の虹の松原班字がうまい担当のメンバー

 「高校生ICT利活用プレゼンテーション大会」のグループ部門最優秀賞に輝いた唐津南高虹ノ松原班字がうまい担当は「虹ノ松原で人と人とを結ぶ」をコンセプトに松ぼっくりで作ったハリネズミの人形などを紹介した。
 唐津で今月開催された「かんねまつり」では、虹ノ松原の清掃活動で拾った松ぼっくりを使用したオリジナルハリネズミ製作体験を実施した。ビーズや松葉で目を表現し、子どもたちには「形がかわいい」と好評だったことなどを伝えた。
 「虹ノ松原×恋愛スポット」をテーマとして、人と人を結びつけるプランを考案。松は昔、恋占いに使われ、それが万葉集にも記されていたことを知り、松葉で「結び切り」を作成したものの、不格好さなどから不採用にしたとして商品開発の難しさにも言及した。
 締めくくりに「虹ノ松原が多くの人にとって幸せな場所になるようにしたい」と希望を語った。★動画はこちら

 

武雄高・佐賀の温泉伝えたいっ隊 「温泉のある高校生活」追究

武雄温泉の利用者増加についてのアイデアを発表する武雄高の佐賀の温泉伝えたいっ隊のメンバー

 佐賀の魅力を生かした企画を高校生が提案する「佐賀さいこう! 企画甲子園」(昨年12月)で、最優秀企画賞に輝いた武雄高の「佐賀の温泉伝えたいっ隊」。佐賀の温泉に着目した同大会の発表をベースとしてさらに磨き上げ、実現に向け追究した内容を披露した。
 日常的に温泉を楽しむ高校生活を広めようと「温泉×高校生×日常」のキーワードで切り口を探った。休憩所を学習スペースにすれば生徒が通うのではと仮説し、「日常の中に温泉のある高校生活は他にない」と魅力をアピール。武雄高の生徒に実施したアンケート結果も踏まえ、入浴料を315円と安価にすることなども提案した。
 大会後もさらに取り組みを進め、「学習室」の実現には設備面をはじめ課題があることや、武雄温泉へのプレゼンを予定していることも紹介。4月に高校生キャンペーンを展開することなどもアイデアとして披露した。★動画はこちら

 

佐賀清和高・才川陽妃さん 場面を想像しながら朗読

朗読の発表をする才川陽妃さん

 「第66回NHK杯全国高校放送コンテスト」の朗読部門で優勝した佐賀清和高3年の才川陽妃(はるひ)さんは、石牟礼道子さんのエッセー「から藷(いも)を抱く」を朗読した。「朝の発声練習は朗読する上で欠かせない」と才川さんは強調した。
 コンテストでは課題本の中から1作品を選び、2分間で読み上げる。「から藷を抱く」は石牟礼さんが東京で「から藷(サツマイモ)」に「再会」する場面が描かれた作品。才川さんは状況を想像し、険しい表情やうれしそうな笑顔を浮かべながら読み進め、抑揚や音の強弱でリアルな世界観を表現した。
 台本は上から何度も色ペンで書き込まれ、台紙が破れセロハンテープで貼り直している所が目立ち、懸命な練習を物語った。才川さんは「1日に100回ほど朗読している中で、気になる部分があれば、すぐに書き込むことで忘れないようにしようと心掛けている」と話した。★動画はこちら

 

さが総文生徒実行委員会 「総文」回顧し成長ぶり紹介

さが総文の成果などを発表するさが総文生徒実行委員会のメンバー

 昨年7月27日から8月1日にかけて県内で開かれた「第43回全国高校総合文化祭(2019さが総文)」。生徒実行委員会メンバーは、準備も含めた取り組みの感想や自身の成長ぶりについて語った。
 準備に費やした2年間を「意見のぶつかり合いもあったが、より良いものにしようという意志があったからこそ。これで互いの信頼が強まった」と団結に至る過程として紹介。県内を取材するプロジェクトについては「地域の魅力を再発見でき、佐賀の高校生であることを誇りに感じた」と述べた。
 総合開会式やパレードなど大規模な催しで担当したそれぞれの役割にも触れ、「仕事にどれだけ誇りを持ち努力できたかが大事」(受付・誘導担当)、「とっさの判断が迫られる場面ではほうれんそう(報告・連絡・相談)を意識した」(進行担当)などと、心掛けや得た気づきをまとめた。★動画はこちら

 

【特別ゲスト】
思斉館中学部・バークス・アシュリー・粋さん バレエで4月米国本選へ

バレエを披露する特別ゲストのバークス・アシュリー・粋さん

 バレエダンサーとして2019年ユース・アメリカ・グランプリの日本予選ジュニア部門で3位に入賞したバークス・アシュリー・粋(つゆ)さん(思斉館中学部2年)。4月にニューヨークで開かれる本選に向けての思いを語り、サプライズでバレエも実演した。
 バークスさんがディズニープリンセスのシンデレラをまねて踊る姿を見た両親の勧めで、5歳からバレエを始めた。習い始めた当時は「ストレッチや体幹を鍛えるなど基礎レッスンが多く、早く踊りたいと思っていた」と振り返ったが、「今となってはこの基礎練習がとても大事なことが分かって大好きになった」。
 発表では、ソフトシューズを履き、得意な回転を中心にしたしなやかなバレエを披露した。ターンするときは目が回らないように、またきれいに見せるために、一点を見続けて回るコツを実技で説明した。
 バークスさんは「本選では練習の成果を発揮し、観客の心に残るような演技をしてトップ10に入れるように頑張りたい」と意気込みを語った。★動画はこちら

 

CHEMMUNICATION 意見交換で互いに刺激

 各組の発表が終わった後は第2部として、発表者同士で意見を交わす恒例のパネルディスカッション「CHEMMUNICATION(ケミュニケーション)」を開いた。クリエイティビティー(独創性・創造性)が発揮される場面について意見を言い合い、互いに質問したりもして、次なる一歩に向けて刺激し合った。

成果発表などを行った生徒たちが意見交換したパネル討議

 まず「クリエイティビティーが発揮される場面は」と題して司会者から質問。さが総文生徒実行委員会は「毎回の実行委がクリエイティビティーにあふれていた」として「話し合いの場で発揮された」とまとめた。バークス・アシュリー・粋さんも準備段階の実践を含めて言及し、「役の本を読んだり映画を観たりして、役になりきる時」と説明した。
 一方、佐賀清和高の才川陽妃さんは朗読表現ならではの感覚として「普段の練習はクリエイティビティーをつくる時で、発揮できたのは聴く人に伝わった時」と語った。
 続いて互いに質問し合うパートでは、素朴な疑問から取り組みの具体的な手法までさまざまな内容が話題になった。
 唐津南高虹ノ松原プロジェクトチーム(PT)は、同じくアンケートを用いた武雄高にデータの取り方を尋ね、武雄高は「どんな質問をすれば欲しい回答が来るか考え、分析に一番時間をかけた」などと答えた。高祖拓実さんは、大勢で協力して着実に前進する虹ノ松原PTに、学業など忙しい中で活動時間をどうやって確保しているのか聞き、PTは「部活に入っているメンバーが少ないので、放課後から夜まで作業に充てている」と明かした。

 
 

 質問が特に集中したのは、食品サンプルの世界をプレゼンし聴衆の関心を引きつけた加藤りんさん(致遠館高)。購入先や好きになったきっかけを問われ、長崎や京都の店などを紹介したほか「覚えていないくらい小さい頃からショーケースの中を眺めていた」と経緯を明かした。
 発表の仕方への質問もあった。加藤さんは中川和香さん(唐津南高)に「心のこもった話し方のコツ」を尋ね、中川さんは「弁論の内容が大切。思い入れのある内容だからこそ心がこもる」と回答。その中川さんは2019さが総文総合開会式で司会を務めた才川陽妃さんに、自身も学校行事で司会を務める機会があるとしてコツを質問。才川さんは「(音が)反響するため一回一回、間を取ること」などと助言した。★動画はこちら

 

■CHEM佐賀 CHEMは「クリエイティブ・ハイスクール・エヴァンジェリスト・ミーティング」の略。県内の教育関係者などでつくる実行委員会が主催。高校生がプレゼンテーションや実演を通し、情報共有や互いの活動を活性化させる「化学反応(ケミストリー)」に期待する催しで、小中学生の進路決定のきっかけにしてもらうことも目的とし、2012年から開かれている。


【主催】CHEM佐賀実行委員会
【共催】佐賀大学全学教育機構
【特別協賛】学映システム
【協力】佐賀新聞社、C―REVOinSAGA、佐賀大学クリエイティブラーニングセンター
【参加校・団体】唐津南高校、佐賀工業高校、佐賀清和高校、武雄高校、致遠館高校、さが総文生徒実行委員会、小中一貫校思斉館(ゲスト)=順不同

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