すしでもなく、ウナギでもなく、ちゃんぽん。わが家では子どものころ、東京や大阪から親戚の人が来ると、ちゃんぽんの出前を取るのがおもてなしの定番だった。ちゃんぽんの全国チェーンがなかった時代。長崎ではなく佐賀ということも珍しかったのか、たいそう喜ばれた◆そんなちゃんぽんの店が並ぶ国道34号沿いの通称「武雄・北方ちゃんぽん街道」。「井手ちゃんぽん」「ドライブインかみや」「常楽軒」など多くの人気店がある。おいしいスープと新鮮な野菜。こってり系、あっさり系と店によって微妙に違う味を楽しめるのがいい◆江戸時代から石炭の採掘が行われ、戦後は炭鉱の町として栄えた。観光協会のパンフレットには、ちゃんぽんが定着したのもこのころで「力仕事で忙しい炭鉱の男たちにとって、短時間でたっぷりの野菜が取れるちゃんぽんは人気メニュー」であったと紹介している◆昭和44年の炭鉱閉山後も、ちゃんぽんの味は受け継がれ、まさにソウルフードに。さらに焼き肉やうどんの名店もあり、グルメ街道としても知られる◆昨年8月の深刻な豪雨被害から28日で半年。店舗の全面改装や厨房機器の入れ替えを経て、以前の行列のできる風景が戻ってきた。多くのお客さんと一緒にちゃんぽんをすすっていると、店員さんの笑顔が見えて本当にうれしくなる。(丸)

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