九州陶磁文化館での消火訓練の様子

 ひと月ほども前のことになるが、1月26日は第66回目の文化財防火デーであった。これは、昭和24(1949)年1月26日に現存する世界最古の木造建造物である法隆寺金堂で火災が発生し、堂内の壁画が損傷したことから、文化財を守り、文化財愛護思想の高揚を図る目的で、昭和30年に制定されたものである。この前後の時期には全国で文化財防火運動が行われ、有田町においても、例年場所を変えて町と消防署・消防団を主体に、消火訓練などを実施している。

 もちろん、町内のさまざまな地区で満遍なく行うのが理想だが、言うはやすく行うは難し。たとえば、町内では人口の多い有田駅周辺の地区などは、歴史的には比較的新しく開かれた場所で、文化財自体がないのである。

 そこで、今回は国の登録有形文化財柴田夫妻コレクションをはじめ、国重要文化財2点、県重要文化財9点を所蔵する九州陶磁文化館にご協力いただいた。近隣住民の方々や消防車目当ての子どもたちなど、多くの方に参加いただき、ようやく実現できた。

 昨年は、パリのノートルダム大聖堂や沖縄の首里城などの世界遺産まで火災に見舞われた。人類の歩みを現在に伝える文化財を、大切に守り後世に引き継ぐためにも、たとえ個々は小さな取り組みであっても、全国的に実施される文化財防火デーの防火訓練が、これからも継続されることを願う。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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