昔から「泣く子と地頭には勝てぬ」などというが、個人的にはもう一つ「飼い猫」も加えてほしい。あぁ、またおねだりが始まった…。お外に連れ出してほしいニャアと、ひとしきり玄関にごろんと体当たり。そろそろ「猫の集会」が開かれてニャいかって?◆気候のいい時分になると、よく近所で「猫の集会」を見かける。最初、親子やきょうだい2、3匹がくつろいでいるところへ、通りかかった顔見知りの猫が「おっ」という感じで立ち止まり、ちょっと離れて座る。次第に数は増え、つかず離れずで寝転んだり、毛づくろいをしたり、思い思いに過ごしている◆猫たちの不思議な行動を〈互いの無事を確認しているんだとか、テレパシーで情報交換してるんだとか、人間どもは勝手な理屈をつけます。でも、実はアレ、なーんにもやっていないんです〉と漫画家ハルノ宵子さんは解説する。日ごろ神経をとがらせている野良猫には得がたい無為の時間という◆新型コロナウイルスの感染拡大でイベントなどの中止が相次ぎ、人の集う光景は消えていく。隣の人がせき込めば、気遣うより先にすっと離れて身構えてしまう。ウイルスの実体以上に、不安の感染力は強い◆きょうは「猫の日」。何も考えず、ただぼーっとして、隣人たちの息づかいを感じている彼らの集会がうらやましくもある。(桑)

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