100号の大作「一人の夜を行け」など神秘的な女性画が並ぶ八木恵子さんの初個展=東京・銀座のギャラリー和田

 佐賀市出身の日本画家八木恵子さん(33)=旧姓・東、静岡県在住=の初めての個展が、東京・銀座で開かれている。美術専門誌「月刊美術」の公募展「美術新人賞デビュー2019」で準グランプリに輝き、機会を得た。神秘的な女性像をモチーフにした16点が並び、創作意欲と描く喜びが伝わってくる。

 100号の大作「一人の夜を行け」は、薄く目を開く穏やかな表情の女性の姿。ゆるやかに右手を掲げるポーズが仏教的なモチーフを感じさせる。後方になびく長髪が、新たな一歩を踏み出す瞬間に見える。

 描く女性像は複数の友人をモデルに、目、鼻、口などを組み合わせた架空の人物。「人の祈りや願いの集合体として描いている」

 植物や甲虫スカラベを取り入れた独自の模様も目を引く。スカラベは「古代エジプトで太陽をつかさどる神の化身としてあがめられてきた」。植物を組み合わせた幾何学的なパターンは「再生」の意味を込めた。

 女性の指先からこぼれ落ちる銀色のかけらは市井の人々の、祈りや願いを表現している。銀箔(ぎんぱく)にアイロンで熱を加えて変色させ、精緻な絵に偶然性を取り込んだ。

 八木さんは佐賀北高―筑波大芸術専門学群日本画コース卒。2015、19年に春の院展入選、16年に佐賀県美術展覧会佐賀新聞賞を受賞。就職後、創作から離れていたが、5年前に長男が生まれ、自らが好きなことをしている姿を見せようと創作を再開した。

 八木さんは「発表できる場が大きなモチベーションになり、展示できないほど多くの作品を描いた。今回の個展を次の創作、発表のきっかけにつなげたい」と話している。

 

 ▼東京・銀座のギャラリー和田で、22日まで。

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