お坊さんが一斉に読経する。一人が「般若(はんにゃはらみった)波羅蜜多…」と唱えると、別のお坊さんは同じ節回しなのに、ちょっと音程が低い。不思議なことに、それは決まって音符四つ下の音だという。作曲家池辺晋一郎さんの『音楽ってなんだろう?』に教わった◆同じように歌っていても、音符四つの音程の違いが生まれるのは人類共通の自然な感覚らしい。ヨーロッパでは教会で歌われた聖歌の音程の違いからハーモニーが考え出され、それを楽器で表現しようと、音域が違うバイオリンやビオラ、チェロなどが作られた…。そんな歴史を知ると、音楽とは実は人間そのものだという思いを強くする◆地域に根を張りながら、地道に音楽に打ち込む愛好家がいる。市民オーケストラ「佐賀交響楽団」もその一つ。仕事や勉強の合間を縫って練習を重ね、仲間を募り、資金集めに駆け回る。紡ぎ出す演奏はだから、心地いい人のにおいがする◆真冬の寒い日に「寒いですね」と言うと、周囲も「寒いですね」と答える。「それと音楽の楽しみは同じ」と池辺さん。生まれ持った音域はそれぞれ違っても、互いが「一緒だ」と思い合える喜びだろう◆同交響楽団が23日午後2時から、佐賀市文化会館で演奏会を開く。ベートーベン「英雄」など、熱く息を合わせる。問い合わせは電話0952(63)0450へ。(桑)

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