目利きの店主の個性やセンス、思いが詰まったセレクトショップ。一見、敷居が高そうに見えますが、そこには日々の暮らしを「楽しく」「気持ちよく」「上質に」してくれる、イイモノ(雑貨)との出合いがあります。心を豊かにしてくれる、イイモノを集めた佐賀のセレクトショップ巡りにでかけましょう。


#1 12 ドゥーズ

「好き」という揺るぎない価値観でセレクトした〝古いもの〟

 アンティークやビンテージなど、〝古いもの〟を扱っている「12」。隠れ家的な店構えで、アンティークになじみのない人は、ちょっと身構えてしまうかもしれませんが、肩肘張らずにゆるりと過ごせる居心地のいい場所です。店内にディスプレーされているのは、グラスや皿、アクセサリーや洋服など、古い雑貨や小物たち。「年に2回、自分たちでヨーロッパまで行き、フランスの蚤の市などで買い付けたものが中心です。実際に手にとって、感触を確かめてください」と語るのは2人の女性オーナー。友人同士だった草野恵美さんと前田文子さんが、古いものが好きという共通点から2014年に店をオープンしました。

どこを切り取っても絵になる店内のディスプレー。おしゃれに飾って楽しむのもいいけれど、「日々の暮らしのなかで、使えるものは使ってほしい」というのが2人の願い。取材日は手染めの洋服の展示会中

 セレクトの基準は、自分たちが好きなものであること。シンプルながら揺るぎない価値観で選んだものは、年代や作られた国がバラバラでも不思議と同じような空気感をまとっています。「蚤の市に行くと、売れそうなものはたくさんあるんです。でも、自分たちが好きなものとなると、何時間も歩きまわってスプーン1本だけということもあります」。そんなに好きなものならば、売らずに自分のものにしたくなりそうですが、「自分たちが好きなものをお客様にも気に入ってもらって、喜んでもらうことが一番うれしいんです」とにっこり微笑む2人。
 店に置かれたものたちは、ひとつひとつ丁寧に磨かれ、好きなものだからこそ大切に売られていることがよく分かります。新しいものとは違う、古いものの魅力は、時の流れを感じられること。長く使われてきたものは、長く愛され大切にされてきた証で、食器のキズや取っ手のゆがみ、使い込まれたあとに持ち主の思いや背景が感じられます。食器や雑貨が欲しくなったとき、選択肢の一つに〝古いもの〟というジャンルが加われば、暮らしのなかにこれまでと違った豊かな彩りが生まれそうです。

自称“食いしん坊”のオーナーがセレクトしたパンや菓子を販売。第1・3金曜日は「gouter」のパン、第2土曜日は糸島「Arietta」の焼き菓子。これがお目当ての常連客も多いとか
なんと元はラーメン屋だったという店舗。こぢんまりとした空間、イイ感じにさびれた雰囲気も2人のお気に入り

 

DATA

住 所 佐賀市大財4-1-59
電 話 070-5278-6724
営 業 11:00-18:00
定休日 月曜
駐車場 2
I G 「12_douze」
F B 「ドゥーズ」で検索
その他 買い付けなどで長期休業、パンなどの販売変更あり営業日はSNSで確認を

 


#2 room design factory ルームデザインファクトリー

「カリモク60」の取扱店は、佐賀ではここだけ。まるで自分の家にいるかのように、リラックスして座り心地を確かめられる

いまの暮らしに映える ロングライフデザインを提案

 建築家でもある店主の野口龍司さんが、築100年以上の古民家をリノベーションした事務所兼インテリアショップ。自分が使ってよかったものや好きなもの、流行に左右されず長く使いたいロングライフデザインのアイテムをセレクトしています。家具は、「カリモク60」や北欧家具の「Yチェア」といった、1950~60年代にデザインされたミッドセンチュリーが中心。日用雑貨は、職人の手仕事を感じながらも、現代の暮らしに合うモダンなデザインがそろいます。自分の感性に響いたものだけをセレクトするため、業者は介せずメーカーと直接契約を交渉するのが野口さん流。「自分がカリモク60のソファを購入したとき、福岡まで何度も足を運んだんです。座り心地を確かめたり、大きさで悩んだり、なかなかすぐには決められないものです。だったら、佐賀でも購入できるようにしようと、メーカーに直筆のFAXを送って交渉し、取り扱えるようにしました」。佐賀にいながら、イイモノに出合える場所にしたいという野口さんの思いが伝わってきます。家具や雑貨を扱うだけでなく、経験豊富な建築家の視点で、インテリアのコーディネートも提案してもらえるので、気軽に相談してみては。

毎日使っても飽きない、日々の暮らしを楽しくしてくれそうな上質なものばかり。長く大切に使えるということは、使い込んで育てていく楽しさがあるということ
ずっとアプローチし続け、念願かなって取り扱いできるようになった「F/style」のマット。山形の月山緞通とのコラボレートで、さらっとした質感の麻のループ織りに立体的なウールのドッグ柄。かわいすぎて踏めないかも
「KLIPPANのブランケットは長く使い込むことで風合いが増していくので、赤ちゃんのおくるみに使ったあとは、ひざ掛けとして使えます」と、使い手としての感想も丁寧に説明してくれる店主の野口さん

 

DATA

大正2年に建てられた趣のある古民家。10年以上空き家でかなり傷んでいたのを野口さんが半年かけてリノベーションし、2014年2月に店をオープン

住 所 小城市三日月町久米2120-2
電 話 0952-72-7008
営 業 12:00-18:00
定休日 火、水、木曜
駐車場 あり
I G 「roomdesignfactory」


#3 Siggi シッギ

かつては駄菓子屋だったという土間部分をギャラリースペースに。アクセサリーや久留米絣(がすり)の服など、糸山さんや家族が好きなものや愛用品などを販売

家ごもりが楽しくなりそうな 心地いい音楽と雑貨

店主の糸山晃司さんと息子の士季(しき)くん。店名の由来は士季くんの名前。「シッギは、アイスランドでは昔からある、人の名前なんですよ」と糸山さん

 静かで落ち着いた路地裏に店を構える「Siggi」は、音楽家の糸山晃司さんが、古い家を改装して昨年10月にオープンしたギャラリーショップ。CDをはじめ洋服やアクセサリー、雑貨などを扱っています。「一人で家にいるときに心を満たしてくれるような、日常を楽しむものが多いです」と糸山さん。音楽を始めたのは大学のバンド活動で、卒業後は会社に勤めながら個人で音楽活動を続けてきました。糸山さんが作るのは、アンビエントとも呼ばれる環境音楽で、リラックスしたい時に聞きたくなるような心地いい曲。一昨年、アイスランドでアルバムを発売し、アイスランドとノルウェーでツアーも行いました。収録曲が、先月公開された映画「コンプリシティ/優しい共犯」(ルー・ユーライ、藤竜也主演)に使用されたほか、美術館のBGM曲を手掛けるなど音楽家としても活躍中。店舗のCDコーナーには、自身のアルバムだけでなく、糸山さんがセレクトした北欧や日本のおすすめをラインアップ。「Morning」や「Evening」など、おすすめのシーンごとに分けられているので初心者でも選びやすそうです。今後は音楽やアートイベント、作家を招いた展示会なども開催する予定です。

不定期で入荷する「YAGIO」のシロップやスコーンは、糸山さん絶賛のおいしさ。入荷日などはSNSをチェック
 

 

 

DATA

取り壊し寸前に偶然通りかかった糸山さんが一目で気に入った建物。築70年を超える

住 所 佐賀市天神1-3-4
電 話 080-1726-6659
営 業 12:00 -18:00
定休日 月、火、水曜
駐車場 あり
I G 「siggi_saga」
H P https://siggi.in/

 

#4 KARAE SHOP カラエショップ

小さな空間にイイモノが詰まっている。常連さんのリクエストに応じてアイテムを仕入れることも。今後は唐津らしい昔ながらの土産品も増える予定

唐津っ子も観光客もお気に入りが見つかるはず

 昨年10月、唐津市の中心市街地の一角にオープンした複合商業施設「KARAE/唐重」。その1階フロアに店を構えるアンテナショップは、唐津・佐賀・九州の魅力あるものや全国各地のイイモノを取りそろえています。「コンセプトはローカルプレス。地元新聞のように地元の人には新しい発見を、観光客には〝こんなのがあります!〟と、いろいろなものを発信する場所にしたいと思っています」とマネージャーの花木沙織さん。確かに、手土産にもギフトにもピッタリのものばかり。唐津くんちをモチーフにしたグッズや、佐賀のおいしいもの、おしゃれな焼き物の器たち。暮らしを楽しく彩るデザイン性の高い生活雑貨や、自然素材のコスメなどもあります。さまざまな人が訪れる商業施設ならではのセレクトで、商品の大半が1000円以下という手頃な価格帯も魅力。贈る相手のことを考えながら、いくつかのアイテムを組み合わせてオリジナルギフトを作るのも楽しそうです。来店するたびにワクワク感を味わえるよう、シーズンにあわせた期間限定商品もあり、今の時季はバレンタインデー用のチョコレートを販売中です。

地元・宮島醤油の「唐津くんち再仕込さしみ醤油」(220円+税)と「唐津くんちカレー」(450円+税)、GRAN(佐賀市)の「ストロベリーグラノーラ」(1280円+税)、1616/arita japanの「Round Deep Plate」( 1300円+税)、川原食品(佐賀市)の「柚子こしょう」(1000円+税)、KARAEオリジナルグッズ「マグカップ」(1500円+税)
松山油脂の「ボディーソープ」(750円+税)と「ハンドクリーム」(950円+税)、MARCHE DE PIERREの「ドライフルーツ」(600円+税)と「殻付ミックスナッツ」(600円+税)、ビニール素材で折りたためる「フラワーベース」(1000円+税)、LISARCHの「ヘアソルベ」(2300円+税)
映画館やダイニングカフェ、ホテルが併設された施設で、唐津の新しい観光スポットとしても話題。1階突き当たりがKARAE SHOP

 

DATA

住 所 唐津市京町1783
電 話 0955-53-8065
営 業 10:00-18:00
定休日 不定
駐車場 なし
I G 「karae_shop」


#5 佐賀一品堂

カチガラスや鳩(はと)笛などバラエティー豊かな「尾崎人形」(1000円~)。右から2番目のムツゴロウは、無印良品の福缶にも入った縁起物。2日前までに予約すれば、絵付け体験(1体1300円)も可能

心ひかれるのは丁寧な手仕事が伝わる佐賀のもの

「西川登竹細工」(中3000円・大3500円)/武雄市、野の風「もち麦」(800円)/嬉野市、刺し子hako「ブローチ」(3600円)/みやき町、「ピアス(イカ柄)」(3500円)、「弓野人形(鳩笛)」(1200円)/武雄市

 佐賀の伝統工芸品やよりすぐりの作家ものなど、手仕事が光る逸品を集めた「佐賀一品堂」。長く、楽しく使えるものを基準に「もの作りをされている作家さんと直接話をし、実際に使ったり試したりして、いいと思ったものを選んでいます」と店主の城島正樹さん。郷土玩具や焼き物、アクセサリー、せっけんなど扱うジャンルはさまざまですが、この店の代名詞となっているのが「尾崎人形」です。神埼市尾崎地区に730年以上も前に伝わった人形で、やさしい土の温もりと思わずクスッと笑ってしまう愛嬌のある表情が魅力的。神埼市出身の城島さんは、作り手が一人になってしまった尾崎人形を途絶えさせないよう、自らも制作に携わり技術継承をサポートしています。今は県内外の展示会やイベントにも出展できるようになり、無印良品が正月に販売する「福缶」のおまけ(全国各地の縁起物)にも、昨年から選ばれています。手仕事のよさは、実際に見たり、使ったり、触れてこそ実感できるもの。作り手の思いがこもった逸品といい出合いができるように、城島さんはその歴史から背景までもを丁寧に説明してくれます。そんなストーリーを楽しみながら、日々の暮らしに佐賀の手仕事を取り入れてみませんか。

「作家さんに、佐賀らしいデザインを作ってもらうようにお願いすることもあります」と店主の城島さん
佐賀市中央大通り・中央橋交差点に面した場所。佐賀生まれのいいものを探すなら、まず最初に立ち寄ってみたい

 

DATA

住 所 佐賀市唐人 1-1-13
電 話 070-5276-2797
営 業 11:00-18:00
定休日 火、水曜
駐車場 なし
H P http://sagaippindou.com


#6 bowl ボウル

 

有田の町に似合う〝贅沢さ〟を感じて

海外や日本各地からセレクトした調味料やお茶など食品も。左から、嬉野の「ほうじ茶」(1000円+税)、鳥取・関金わさびの「わさびオイル」(1200円+税)、オーストラリアのオーガニックティーブランド「LOVE TEA」(2300円+税)、豆腐をみそに漬けて発酵させた「ねむらせ豆腐」(667円+税)

 有田川沿いに建つ「bowl」は、築100年の陶磁器商家をリノベーションした日用品のセレクトショップ。400年という磁器の歴史を持つ町だからこそ、お店のコンセプトは有田焼。といっても、有田焼が並んでいるわけではありません。「有田焼の価値観がテーマ。焼き物といえば土一色だった時代に、真っ白な器や華やかな絵付けを見た人たちは、なんて贅沢なんだと思ったはず。有田焼は高級品じゃなくて贅沢なものなんです。そんな有田焼らしさを感じられるものをそろえています」と語るのは、コンセプトづくりやディスプレーなど店全体をディレクションする高塚裕子さん。一口に贅沢といっても、その価値観は人それぞれ異なります。たとえば、職人の手仕事を感じる日用品や、手間ひまかけて丁寧につくられた食品など。便利なものより不便なもの、ものづくりのプロセスや時間、お金では買えないものに贅沢さを感じる人も多いでしょう。有田焼がもたらしたのは、目には見えない心に響く暮らしの贅沢さなのです。

ナイフの先が尻尾のように浮き上がる「木製バターナイフ(小)」(3611円+税)は、テーブルや皿を汚さないし、見た目もかわいい!

 高塚さんは、波佐見町の生活雑貨店を人気スポットにまで育て上げた実績の持ち主で、その場所にふさわしい店づくりにこだわってきました。ここでは、有田らしい贅沢さに加え、使い手がイメージを広げて楽しめる〝余白〟も大切にしています。「有田はものづくりの町だから、使い方を決めつけないで、使う人が知恵と工夫を凝らして自分らしく使って欲しい。だから洋服も、一枚で簡単にスタイリングできるようなものは置いていません。自身で頭をひねってコーディネートをすることを楽しんでもらえたら」。余白を楽しむということは、時間と気持ちにゆとりをもって暮らしを楽しむことでもあります。イイモノと出合い、ちょっとした贅沢や余白を楽しむエッセンスが暮らしに加われば、何気ない日常もなんだか特別なものに感じられそうです。

普段使いの洋服やバッグもちょっと贅沢に。お気に入りのものを身につけると気分がアップしそう
興味をそそられる品ぞろえやディスプレーについつい見入ってしまう。「また来たい!」と思わせるのがbowlの魅力

 

 

 

DATA

白壁の外観が印象的な建造物をリノベーション。内装では、趣のある立派な梁が生かされている

住 所 有田町本町丙1054
電 話 080-7983-5733
営 業 12:00-18:00
定休日 水曜+不定
駐車場 あり
I G 「bowl_arita」
F B 「bowl_arita」で検索
その他 スイーツやパンなどを販売する「ツキイチおやつの日」や、ものづくりの職人や作家を招いた企画展なども定期的に開催している

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