NPO法人「ワールドオープンハート」の阿部恭子理事長=佐賀市のアバンセ

 孤立しがちな犯罪加害者の家族に対する支援などを考える「人権カフェ」が16日、佐賀市のアバンセで開かれた。加害者家族の支援に取り組むNPO法人「ワールドオープンハート」(阿部恭子理事長、仙台市)が主催。阿部さんや弁護士、自治体職員ら約20人が参加し、思い悩んで自殺するなど罪を犯した人の家族が直面する厳しい状況を共有した。

 阿部さんは2008年、日本で初めて加害者家族を対象とした支援組織を立ち上げ、相談や講演活動を続けている。理解を広めようと昨年から人権カフェをスタートさせており、佐賀県では初めて開いた。

 阿部さんは「活動が地元紙で取り上げられると、全国から相談が殺到した。内容がすさまじく、『息子が人を殺した』という家族からの電話もあった」と発足時の反響を紹介した。支援した約1500件のうち殺人事件が最も多く「かなり昔の事件でも連絡がある。インターネット社会となり、ばれてしまうのではないかという親族の悩みが復活している」と語った。

 また、交通死亡事故を起こした高齢者が自殺するケースがあるとし、速やかに精神科を受診させることを勧めた。子どもの犯罪については「日本は親の社会的責任が一番重く、親の自殺率も高い。押しつけず、社会で分担する姿勢が大事」と指摘した。

 このほか、参加者がさまざまな立場から体験談や考えを述べた。2000年に当時17歳の少年が起こした西鉄高速バス乗っ取り事件で被害に遭った山口由美子さん(70)は「誰かが少年の気持ちをくんでいたら、事件は起きなかった」と語った。詐欺罪の前科があり、出所後も仕事に支障があるという男性は「自分のように知らずに暴力団と接触し、犯罪に巻き込まれるリスクもある。元受刑者の話を社会で共有したほうがいい」と話した。

 参加した自治体職員の男性は「加害者家族への支援は不十分。充実させる必要性を感じた」と話した。

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