文化として受け継ぐため折り紙の魅力を伝え続ける

 

 日本が世界に誇る伝統文化「折り紙」=「ORIGAMI」。中でも、「ユニット折り紙」という技法で多面体を作るのが得意な佐賀市在住の作家・川村みゆきさん。同じ形のパーツを複数組み合わせると、元のパーツからは想像もできない美しい形に仕上がります。国内外で25年以上活動する折り紙作家の思いとは。

多面体のとりこに
 川村さんが折り紙を始めたのは、病気で入院していた2歳の頃。室内で手軽に遊べるからと、親に勧められたのがきっかけです。関連書籍を読みあさり、小学4年生になる頃には自分だけのオリジナル作品を作っていました。中高は勉強や部活に忙しく手が止まりましたが、大学時代に再開。理学部で物理を学ぶ中で、多面体の美しさに気付きます。大昔から人類の研究対象であり、自然界にも存在する立体。それは紙でも作ることができました。

学生のころに出版、講演会も

1993年3月に発表した作品「ツイスター」

 大学4年間で多面体の折り紙の世界へのめり込んだ川村さん。1993年、パーツ同士の間に生まれる空間が画期的なユニット折り紙「ツイスター」を発表し、「世界の折紙展」大会会長賞を受賞しました。修士1年には「多面体の折紙」を商業出版。講習会などの仕事を依頼されるようになり、活動は軌道に乗り始めます。そんな中悔しかったのは、折り紙が手遊びとして身近であるがゆえに、なかなか一般の人から作品として扱ってもらえないことでした。絵画や彫刻のように折り紙も一ジャンルとして市民権を得ることが、川村さんの願いです。SNSなどを使えば誰でも手軽に自分をアピールできる昨今。制作者や典拠を明示せずに折り方を披露する動画なども問題視し、「折り紙の文化を後世に受け継いでいくためにも、生み出した人のいる作品だという点を大切にしてほしい」と、訴えます。

国内外を飛び回る
 現在は日々の制作の傍ら、講習会や作品展示などを行うコンベンションに参加。日本やアメリカなど国内外を飛び回り、折り紙の魅力を伝えています。
 子どもから大人まで取り組め、見ても作っても楽しい折り紙。「数学や物理的な思考の基礎訓練にもなると思います。折り紙で生まれた形って、例えば車の形態にも生かされているんですよ。幼少期から親しむ人が増え、多面体が世の中にあふれたらうれしい」と、川村さんは笑顔で語ります。

 

PROFILE

 

かわむら・みゆき ■1970年生まれ、大阪府出身。神戸大学理学部物理学科修士課程修了。「TVチャンピオン 第3回全国折紙王選手権」準優勝。日本折紙学会評議員。著書に「はじめての多面体おりがみ」など

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