紙すき職人として働く小副川天斗さん=佐賀市大和町の名尾手すき和紙

 全国的に手すき和紙作りの担い手が減少する中、佐賀市大和町名尾の工房「名尾手すき和紙」で、小副川天斗(たかと)さん(23)=同市高木瀬町=が紙すき職人として修業を積んでいる。同地区唯一の手すき和紙工房で、約6年ぶりの「新人」になる。小副川さんは「自分次第で和紙のクオリティーを突き詰められる仕事。製品になった時のうれしさが励みになる」と話す。

 小副川さんは2018年10月末から、この工房の4人目の職人として働く。高校卒業後、配管工の現場や照明機器の工場で働いたが、仕事の実力だけでなく学歴が評価の対象になることに疑問を感じたという。転職を考えていた時、工房の7代目・谷口弦さん(29)と知り合ったことがきっかけで、和紙作りの世界に飛び込んだ。

 全国の手すき和紙事業所は、高齢化などで職人の減少や閉鎖が相次いでいる。経済産業省によると、従業員4人以上の事業所は2017年度、全国に44カ所あり、10年前と比べると約4割減っている。名尾地区でもかつては100軒ほどあったが、現在は谷口さんの工房だけになっている。

 ランプシェードや壁紙、カーテンなど「なんにでもなる和紙」に魅力を感じるという小副川さん。一方で製品によって厚みが変わり、その感覚は全て職人に委ねられる。小副川さんは「乾燥させないと厚みは分からない。手すきだからこその難しさがある」と奮闘しつつも、「今は仕事の実力を見てもらえる環境。体力勝負だが楽しめてる」と充実した表情を見せる。

 昨年は市内の中学生ら約6千人分の卒業証書を制作し、「ずっと思い出として残るもの。集中して取り組んだからこそ達成感があった」と振り返る。今後は「まだすいたことのない紙に挑戦できるよう頑張りたい」と目標を掲げる。

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