詩人の世界では「ネコとマゴの詩にロクなものはない」そうだ。「猫かわいがり」が過ぎて現代詩らしい批評性に欠けるというのだが、谷川俊太郎さんほどの大家になると、詩句は心を射ぬく。〈祖父というものは/もっと立派なものかと思っていたが/そうではないと分った〉。「あかんぼがいる」という一編にある◆ネット銀行の調査によると、50~70代で昨年、孫のために消費した額は平均15万1千円。前年より3万8千円増えた。入園・入学祝いに誕生日プレゼント…笑顔見たさに財布のひもは緩む。「5万円未満」が31%で最多だが、中には「100万円以上」使った人も。立派すぎて、とてもまねできない◆以前「手鏡」欄で読んだ白石町の橋口幸子さんの投稿が胸に残っている。小学校を卒業した孫のランドセル。6年間の思い出が詰まっていて、使わなくなるのが寂しい。「ばあちゃんがもらっていい?」。肩たたき券や遠足のお土産、敬老の日の手紙など、孫がくれた大切な品々を入れる宝物箱にした◆橋口さんの寝室には、孫が高校生になった今もランドセルが飾ってある。お金をかけるばかりが愛情ではない。思い出のランドセルは曲がりかけた背中もピンと伸ばしてくれるだろう◆谷川さんの詩は続く。〈ようし見てろ/おれだって立派なよぼよぼじいさんになってみせる〉(桑)

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