「昔は良(よ)かった。今の子どもは○○でダメだ」と言われてイラつくことがあるでしょう。言われてもしょうがないことであり、そうなる原因(げんいん)をつくったのは大人の方です。「昔は良かった」はピラミッドにも彫(ほ)ってあるそうで、ずっと言われ続けています。実際(じっさい)には昔にそんな良い時代があったわけでもありません。どの時代にもとんでもない差別やいじめ、貧困(ひんこん)や戦争がありましたし、残念ながら今もあります。でも、人権(じんけん)の尊重(そんちょう)は少しずつでも今の方が着実に良くなっていますし、この先をもっと良くしようという努力も続いています。未来を良くする方法を考えないと意味がないのです。
 人間は経験(けいけん)を重ねると、新しい仕組みややり方を覚えるのが面倒(めんどう)になります。自分が身に付けたやり方や常識(じょうしき)が通用しなくなると昔は良かったと言いたくなるのです。だから、学び続けるのをやめると皆(みな)さんも同じことを言う大人になってしまうことでしょう。
 クラス替(が)えがあると、自分の居場所(いばしょ)をつくるために努力したり悩(なや)んだりすると思います。これは新しい環境(かんきょう)への適応(てきおう)です。時代の変化でも同様で、みんなその時その時に適応しながら生きるしかありません。その中で、つらい経験やこれはおかしいと気づくことがあったあなたは、それが繰(く)り返(かえ)されないように意見したり仕組みを変えたりと未来を良くする役割(やくわり)を果たせるはずです。良くしようとして同じ過(あやま)ちを繰り返してきた歴史も学ぶ必要がありますが、歴史から自分が生まれる前のことを知り、自分より後の時代の人のことまで考えられるのは人間だけです。
(浄土真宗本願寺派僧侶・日本思春期学会理事 古川潤哉)

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