ミツマタ

 ジンチョウゲ科植物のミツマタは枝が三つに分かれる様子から、漢字で「三叉」と書きます。3~4月頃、葉が出る前に球状に開花し、花びらのように見える萼(がく)約30片が集合し2~3センチの一つの球をつくります。

 樹皮の繊維は古くから、わが国の紙の原料として活躍してきました。記録上では16世紀ごろから使用されたとありますが、『万葉集』に「三枝(さきくさ)」という名のミツマタと思わしき植物が登場する点から、このころには用いていたとする説もあります。

 そして時は流れて明治時代。丈夫な繊維を持つという強みは紙幣の原料に抜てきされて脚光を浴び、私たちと極めて距離の近い植物になるのです。

 幾多の人の手に渡ってもちぎれることのない、最強の紙。薬用植物同様、生活必需の有用植物です。(中冨記念くすり博物館)

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