イメージは「人」 自家製酵母のパンを出張販売

「人」からイメージを膨らませてパンを作るユニークな出張販売店が、西松浦郡有田町にあります。西岡学さん(41)の「わきみち堂」は、自ら生み出した天然酵母やこだわりの素材で味わい深いパンを提供し、じわじわと人気が広がっています。

「わきみち堂」の販売スタイル。小さな机にパンを並べ、店の前には宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」やCDが並ぶ=有田町のコミュニティースペース「Our house」

 

「賢治」について説明するポップにも雰囲気がある

 「賢治」「ムカイ」「ミネタ」…。いずれもパンの名前です。それぞれ宮沢賢治、バンド「ZAZENBOYS」の向井秀徳(みやき町出身)、バンド「銀杏BOYZ」の峯田和伸と、いずれも西岡さんが敬愛する人物をイメージしました。中には「銀河鉄道の夜」の登場人物「ジョバンニ」「カムパネルラ」も。
 モデルの人物像に、使う材料や味わいからイメージを重ねます。たとえば「賢治」は宮沢賢治の故郷・岩手産の小麦粉と小麦全粒粉を使用。ライ麦粉とも混ぜることで強く広がる味わいに、宮沢賢治の広い世界観を重ねました。玄米と小麦由来の酵母で発酵させており、口に入れたときの香りと優しい滋味が特長です。


 10年前、佐世保でパン作りを学ぶも、一度挫折して自転車で日本一周の旅に出た西岡さん。人との出会いからパン作りへの情熱を取り戻し、帰路は各地のパン屋を巡ってアイデアを錬りました。「カムパネルラ」とフランスのパン「カンパーニュ」の語感の近さから、「ジョバンニ」と併せて「2人のパンを作ろうと思った」と振り返ります。

テーブルに並んだパン
(左から)「A食」(半分300円)と「賢治」(半分380円)

 今後の展開は「女性をモデルにしたパンも考えているが難しい。女性は捉えどころがなくて」。自身の店を持つ予定については「賢治の世界の主人公のような、生きづらい人の集える場所をつくれたらという思いは根底にある」と先の夢を語ります。
 いずれのパンもしっかりした食感で、かむうちにうま味が広がります。発酵で生まれる酸味もそのまま。家庭でも一度焼いたり、霧吹きなどで水を吹き掛けて焼いたりすると、また違う味わいを楽しめます。

出店を知らせるのぼり
店主の西岡学さん

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 毎週水曜に有田町内で出店し、週末には有田近辺でイベントに出しています。出店予定はインスタグラムやフェイスブックで告知します。早い時間に完売することも多いのでご注意を。
[電]080(2730)8080
[IG]wakimichidou

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