佐賀県は、障害者手帳の交付対象ではない軽度・中度難聴児(18歳以下)の補装具購入に対する支援を、来年度から拡充する。両耳難聴だけだった対象者を片耳難聴にも広げ、補聴器に加えて人工内耳の体外機の交換にも助成金を出す。従来の支援制度から漏れていた当事者の保護者らが声を上げ、行政を動かした。

 県は2015年度、軽度・中度の難聴児が補聴器を購入する場合の助成制度を創設した。一般に10万円前後の費用がかかる補聴器の購入で、身体障害者手帳を持つ難聴者には原則9割の助成があるが、中度以下の難聴者には負担軽減の制度がなく、保護者会らの要望を受けてつくられた。

 制度は、難聴児が言葉を習得する機会を損なわないようにすることが目的だが、片方の耳が正常な片耳難聴の子どもは助成の対象から外れていた。昨年5月、伊万里市に住む当事者の両親が「片耳難聴の会」をつくり、支援を求めて活動を展開したことが今回の拡充につながった。

 人工内耳の体外機の交換に関しては、経年劣化による買い替えに健康保険が適用されるケースはほとんどなく、1個約100万円の負担が当事者に重くのしかかっていることから、助成の対象に加えた。

 県内では武雄市と鹿島市が既に体外機交換の助成制度をつくり、障害者手帳を持つ難聴者を対象に上限18万円を支援している。県の助成は18歳以下で人工内耳の人は誰でも受けられ、費用の3分の2を県と市町が負担するよう調整している。新年度予算案には拡充分230万円を盛り込んだ。

 県障害福祉課の担当者は「既存の制度では支援できなかった人たちの声に応えた」と話す。「片耳難聴の会」代表の山口学さん(49)は「活動を始めて1年足らずで対応してもらい感謝している。これからも難聴児が学校生活で困ることがないように環境づくりを進めてほしい」と求めた。

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