安さや便利さには理由がある。どこかで誰かが、その負担をしているのだ。楽天の送料無料の導入方針を巡り、公正取引委員会が立ち入り検査したニュースに、無料の代償は結局どこが負うのか考えた。取引先に不当に不利益を押しつけているのであれば問題だ◆騒動を見て重なったのがチョコレート。原料となるカカオ豆はかつて貨幣としても流通した貴重品だった。それがいまやチョコとして手軽に楽しめる。背景にあるのが児童労働の問題である◆カカオ豆の主産地はコートジボワールやガーナ。零細農家が大半で極度の貧困状態にあるため、子どもを労働力として動員せざるを得ない。炎天下の作業を強いられながら、一度もチョコを口にしたことがない子ども、働き通しで学校に行けない子どもがいる◆カカオ豆の低すぎる価格設定が根底にあるといわれる。そこで途上国の製品を適正な価格で取引するフェアトレード(公正貿易)が叫ばれて久しい。アパレルの世界でも低価格の商品を支える労働者への低賃金が批判されている◆問われているのは私たちだろう。「エシカル(倫理的)消費」は、日々の買い物を通じて貧困や環境問題に取り組もうという考え方。商品がどんな場所で生まれ、どんな人が作っているのか。あすはバレンタインデー。知る努力をすることで思いは深まる。(丸)

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