ロボットアニメ「マジンガーZ」が出撃する地下格納庫を実在のゼネコンが設計するとどうなるか。実話に基づいた公開中の映画「前田建設ファンタジー営業部」が面白い。突拍子もないミッションながら、モノづくりに挑む情熱が伝わる◆実際に建築するのと同様に設計し、工期と見積もりを出す。最初は「何の意味が?」と乗り気でなかった社員だったが、掘削専門の若い技術者や、かつて巨大なダムを担当したレジェンドがその技術を熱く語り、彼らに引っ張られるようにアニメの設定を実現させようと本気になる◆「夢に到達できなくても悲しいことではない。悲しいことは夢を持てないことだ」。そんな言葉がある。日本ではソニーやシャープなどモノづくり大国を体現する企業が多く生まれた。それを支えてきたのが夢やロマンではなかったか。ところが、いまはどれだけ語られているのだろう◆「世界のホンダ」の創業者本田宗一郎は「やってみもせんで、何を言っとるか」と社員の可能性を引き出し、成長を促した。言葉にはモノだけでなくヒトづくりへの情熱があふれている。働き方改革が叫ばれる中で企業の大事な役割だろう◆巣立ちの春。就職が決まり、希望に胸を膨らませた若者の顔が浮かぶ。わくわくするような夢はあるか。夢を本気で語れる場はあるか。いざ出撃だ。(丸)

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