青磁染付や鉄絵など武雄の磁器の技法なども紹介している「武雄焼入門」

 武雄の焼き物の歴史をひもとく「武雄焼入門―その歴史と特色」が出版された。武雄市観光協会が、鈴田由起夫九州陶磁文化館館長の講演を再編集する形で作成。ブランド確立の戦略も示し、「武雄焼」の名称使用を提言している。

 A5判、48ページ、880円。「武雄焼の提唱」「肥前窯業と古武雄の歴史的変遷」「武雄焼の売り出し方とまとめ」の3部構成で、図表や写真も交えて武雄焼を解説、紹介している。

 鈴田館長は「武雄でできた焼き物を普通に『武雄焼』と呼んでは」と提唱。古唐津や古伊万里、伊万里焼、有田焼を含めて歴史や定義を説明している。江戸後期の「古武雄」が古唐津の一部と見なされていたことなど、武雄焼が周辺産地の名で呼ばれてきたことを紹介している。

 武雄焼が、文禄・慶長の役に出陣した武雄領主が連れ帰った朝鮮陶工・深海宗伝(ふかうみそうでん)によって始まったことや、江戸時代に有田焼が栄えて唐津焼が衰退する中で、武雄焼は色調や技法の革新や商品開発を進めたことを紹介。刷毛目や緑釉(ゆう)、象嵌(ぞうがん)技法などの古武雄の特徴や、染付や鉄絵、型打ちなど武雄の磁器の技法も説明している。

 武雄焼を売り込む戦略として(1)古武雄や磁器、現代の創作美など系統別にPR(2)展覧会や出版物で豊かな歴史への理解を深める(3)温泉や食など武雄の魅力を組み合わせた情報発信-を提言している。

 鈴田館長は「今は産地を明示して生産者の顔を見せる時代。唐津焼や有田焼の影に隠れてきた武雄の焼き物を武雄焼として広く認知してもらいたい」という。武雄焼の名称に疑問を示す声もあるが、「磁器を含めるかどうかなどの意見はある。この本が議論のきっかけになれば」と話す。

 問い合わせは観光協会、電話0954(23)7766。

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