陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)所属の戦闘ヘリコプター墜落事故から5日で2年。あの日の記憶が薄れ、口の端に上らなくなっていく中、住民らは「事故を語り継いでいく」との思いを強くする。

 「いつもではない。ただ、月に1度の訓練では(事故のことを)思い出していた」。サールナートこども園(当時大立寺幼稚園)の平尾道代副園長(52)は、そう明かす。避難訓練を毎月行っていた園では「私たちにとってまれなる日。(事故で失われた)2人の尊い命を大切に思う」と、事故直後に2月5日を「防災の日」と定めた。

 園は昨年11月、町内の別の地区に移転したが「事故の記憶がない子たちに、語り継いでいくことが私の務め」と訓練の継続を決めた。今年も5日は訓練を実施し、殉職した隊員の三回忌の供養を行う。

 事故現場の樋口邦敏区長(70)は「記憶は薄れているように感じる」という。地区の会合などで話題になっても「『そうやったね』みたいな感じ。薄らぐのは仕方ないけど…」と複雑な思いを口にする。

 自衛隊の対応については「きちんと謝罪や補償はあった」と大きな不満はない。ただ一つ、墜落直後から変わらない思いを持ち続ける。「2度と起きてほしくない。願いはそれだけ」

 ヘリが墜落した住宅の家族と節目ごとに連絡を取ってきた神埼市の担当者は、この1カ月は週1回に頻度を増やしているといい、「家族は元気に過ごしている。(電話も)冷静にやりとりをしている」と話す。

 山口祥義知事は「被害住民の気持ちに寄り添い、一日も早く日常を取り戻していただくことに心を尽くしてきた」とコメント。防衛省には「安全・安心を第一義に、安全対策に万全を期してほしい」と求めた。

 目達原駐屯地では5日に慰霊行事を予定している。駐屯地広報室によると、殉職した2人が所属していた「第3対戦車ヘリコプター隊」の部隊員が参加するという。

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