「常日頃から私たち自身が一人一人の人権を“意識”しないといけない」と語った元熊本県知事の潮谷義子さん=佐賀市天神のアバンセ

 佐賀市出身で元熊本県知事の潮谷義子さん(80)が1月31日、佐賀市天神のアバンセで「いのちを愛する」と題して講演した。虐待などが後を絶たない現代社会について「常日頃から、私たち自身が一人一人の人権を意識しないといけない時代になった」と警鐘を鳴らし、他者を尊重する意識の大切さを訴えた。

 潮谷さんは2016年の熊本地震で、子育て中の消防士がかすかな赤ちゃんの泣き声を耳にして救助に至ったエピソードを紹介した。「日常の生活が非日常で顕在化する。命のありようや地域のひずみが問われた」と振り返った。

 避難所では、認知症や発達障害のある人が白い目で見られる状況もあったと話し「自然災害の時に、命のありようをまざまざと見せつけられた」と指摘した。「普段から親子の情愛や家族の支え合いをどれぐらい意識できているだろうか。夫や妻、子どもを愛せないということが、私たちの周辺に広がっていると感じる」と危機感を示した。

 また、先祖から脈々と続いてきた命を意識する必要があると説き「かつてはそれぞれの家に宗教があった。正月やお盆にお墓参りへ行き、命のつながりを知ることができた」と話し、「どんな命も神様から愛されている、ということが生活の中から消えてはいないか」と問い掛けた。

 講演は、子育てする親を地域で支える「家庭教育支援者」の養成講座の一環で、今回のみ一般公開され、約80人が聴講した。

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