陰暦2月の異称「如月(きさらぎ)」には、「初花月(はつはなづき)」との呼び名もある。梅の花が咲く頃。今年は先月21日、佐賀地方気象台が平年より8日早く開花を発表した。少しずつだが、春は近づいている。

 紙面を開いて、春の足音を感じるのが恒例の企画「巣立つ」。高校3年間の学業、部活動での頑張りや将来の夢が6行の記事に凝縮されている。紹介できる生徒は限られるが、ほかの生徒たちもそれぞれに思いを胸にして学び舎(や)を巣立っていく。

 学校が好きだった人、そうでもなかった人、その理由を含めていろいろあろうが、学校ってどんな場所なのか。歌手のさだまさしさんが恩師の言葉を紹介していた記事(佐賀新聞・昨年8月27日付)が印象深く、切り取って手元に残している。

 その記事は、各界の著名人が毎回、入れ替わって授業をするという設定の連載企画「14歳の君へ」。先生役となったさださんは「みんなに伝えたいことがあります。高校の恩師の言葉です。『学校は勉強しに行く所じゃない。勉強のやり方を教わる所』。卒業後、興味のあることを一生かけて学ぶんです。ぼくは今、子どもの頃より勉強しています」と、学び続ける大切さを説いていた。

 さださんはバイオリンを習っていた子どもの頃を振り返り、こんな話もしている。「クラシックのプロへの道はすごく厳しい。情熱を少しでも失った瞬間に腕は落ちる。自分ではそれに気付かない」

 思うようにバイオリンの腕は上達せず、挫折を経験したさださんだが、その代わりに落語を聞いたり、本を読んだりと、いろんなものが自分に入ってきたという。そうした経験が新たな道を開き、多彩に活躍する今のさださんにつながっている。

 卒業しても、さださんが言うように勉強は続く。むしろ、学校を出てからが身につけた勉強のやり方、学ぶ力が試される。学び、失敗し、また学ぶ-。その繰り返しに向き合っていく意思を持ちたい。「巣立つ」を読みながら、若い人たちにエールを送り、こちらも諦めの「いまさら」が希望の「いまから」へと1文字、切り替わるような力をもらっている。(大隈知彦)

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