昨年の出生数が86万人台となる見込みで、少子化は深刻さを増しています。そのような中、母子保健法が改正され、2021年から施行されます。自治体では出産後1年未満の母子を対象とした心身のケアや育児支援を実施するよう努めなければなりません。これにより全ての母子は、助産師などから授乳指導やカウンセリング、育児支援などのサービスを受けられるようになります。

 しかしこれまで多くの子育て支援策がとられてきましたが、あまり成果は上がっていません。出産一時金の増額や妊婦健診の無料化などが進められていますが、0歳児の保育料は高く、経済支援は十分ではありません。またサービスを利用する上での課題もあります。育児に悩む母親は、なかなか自分から援助を求めません。自分の子育てにダメ出しされたり、非難されたりするのではないかと悪い方に考えるからです。乳腺炎や子どもの発熱などの具体的な悩みは相談できますが、漠然とした不安は誰に何を相談してよいのかわからず自分で何とかしようとします。ちょっと相談すれば解決することも積み重なると鬱につながってしまいます。

 自ら助けを求めにくい母親に最適な相談相手は助産師です。妊娠から出産という長い時間、大変な時期を一緒に乗り越えた助産師との体験は、強い絆や信頼関係を生みます。その結果、母親は小さなことから深刻な問題までを助産師に相談できます。産後1年までの間、助産師が全ての母親にマンツーマンあるいはチームで継続的に関わることができれば、子育ては楽になるでしょう。でも助産師不足と地域偏在から実現は難しいと考える人もいるかもしれません。大丈夫です。育児のために仕事から離れている助産師を活用すれば、効果的かつ質の高い産後ケアを多くの母子に届けることができます。また人と人をつなぐアプリを介在させれば、いつでもどこでも相談でき、母親は女性の生涯の健康のよきパートナーとしての助産師を見つけることができるでしょう。

(佐賀大学教育研究院医学域医学系=母性看護・助産学領域=教授 佐藤珠美)

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