マスクをつけて業務に当たる社員=佐賀市のJR佐賀駅

 新型コロナウイルスによる肺炎拡大を受け、佐賀県内でも旅客、小売り関係の企業を中心に、従業員の安全確保や感染拡大防止の観点から、マスク着用を推奨する動きが加速している。一方で「表情が見えない」「接客にマスク姿は失礼」など積極的なマスク着用に踏み切れない企業も。日々刻々と変わる感染の拡大状況に目を向けながら、難しい選択を迫られている。

 28日、福岡市のJR九州本社であった青柳俊彦社長の定例会見。新型コロナウイルスへの対応について問われ「社員にマスク着用を推奨している」と答えた。これまでは「ためらいがあった」としつつ、国内で患者が確認されたことに触れ「マスクをすることがサービスであるという認識で対応する」。方針転換した胸の内を語った。

 タクシー会社は対応が分かれる。佐賀市のタクシー会社は「帽子やメガネに加え、マスクをすると乗車客に不安感を与えてしまう」として、運転手の着用は控えている。ただ、今後については報道を注視し「対応を決めたい」とする。個々人の判断に委ねているという別のタクシー会社は、これまでマスクをつけていなかった運転手もつけ始めた。

 バス事業者は、「表情が見えない」「マイクで案内するときに声がこもる」など支障が出るという声もあるとした上で「体調を崩すと仕事ができず、会社にも損失」と着用に理解を示す。今年は新型コロナウイルス感染予防としてマスクを支給し「終息するまでは会社として備えていきたい」と気を引き締める。

 観光、小売業への影響も大きい。中国からの観光客が多い伊万里市の大川内山では、一部の店舗で従業員の着用を始めた。店先に「従業員の体調不良のためではありません」と理解を求める張り紙をしている。

 窯元巡りをしている国内外の観光客もマスク姿が目立つ。佐賀県内の女性2人は「中国からの観光客が多いと聞いていたので、用心のため。佐賀だから、と安心はできない」と話した。

 佐賀市の佐賀玉屋では、春節(中国の旧正月)の時期には、化粧品の販売が伸び、客単価4万~5万円にもなる。新型コロナウイルスの感染拡大に関連し、メーカー側からは、販売員へのマスク着用の許可依頼が寄せられた。担当者は「感染拡大を防止するということも仕事の一つとして対応したい」と強調した。

 国内外から宿泊客を迎える佐賀市のホテルでは、マスクの準備は済ませた。ただ「フロントは接客の要。着用するかどうかは検討中」と、着用に踏み切る難しさも口にした。

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