相手の正体が見えないと、人はどうなるか。不安や恐怖、そして排除。新型コロナウイルスによる肺炎騒動は、そんな混乱した心理がもろに出ている気がする。ここは、恐れおののいて騒ぎ立てるのではなく、やはり冷静に予防を徹底したい◆気になるのは、災害や戦乱、疫病などによる不安が生む流言飛語である。今回の新型肺炎でも「感染疑いのある観光客が関西空港から逃げた」というデマが広がった。さすがにこれは空港当局が否定している◆熊本地震の際も同様のことが起きた。地震発生直後に「動物園からライオンが逃げた」という悪質なデマ。ネットで入手したとみられるライオンの写真を張って、それらしく見せる巧妙さ。写真は海外のもので、この事件では20歳の会社員が逮捕された◆匿名がまかり通るネット社会。SNSへの心ない書き込みは「あくまでもネタだ」と面白がって罪の意識がないのが特徴だ。むろん今も差別的な要素が加わるとデマが悲惨な事件につながる◆きのう中国・武漢からのチャーター便での帰国者に感染者が確認された。ますます騒ぎが増幅し、感染をめぐる書き込みがエスカレートしている。毎年インフルエンザが流行しているが、それと比べて感染力や致死性、毒性はどの程度なのか。やはりここは冷静に。正確な情報を見極める目を持ちたい。(丸)

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