約30年前に開発された住宅地「けやき台」。当初は子育て世代が多かったが、現在は高齢者の割合が増えている=三養基郡基山町

 任期満了に伴う三養基郡基山町長選が2月4日告示、9日投開票の日程で実施される。福岡との県境に位置し、住宅開発が続く町では転入が増えつつある一方、増加する高齢者や子育て世代を支援する施策の充実を求める声がある。選挙戦を前に課題を探った。

 「この辺りは高齢者ばかりになってしまった。1人暮らしや高齢夫婦2人だけの世帯も多い」。約30年前に開発された住宅地「けやき台」に住む70代男性は不安げにつぶやいた。

 けやき台には昨年末現在で1483世帯3727人が暮らす。開発当初は30~40代の子育て世代ばかりだったが、今では60~70代が多くなった。「ついのすみかとして移住してきた人が多いから家を手放さない。だから若い人世代が入ってこない」と男性。シニア世代が中心になり、イベントや健康づくりに取り組む「基山SGK」の活動は盛んだが、「5年後はどうなっているか分からない」。健康を維持するための拠点づくりなど福祉サービスの充実を望んでいる。

 町によると、昨年3月末の町人口は1万7390人。このうち60~74歳は4192人で、24%を占めている。20年後には80~90代の割合が大幅に増えるとみており、高齢者向けの施策は待ったなしの状況だ。

 現職の松田一也氏(62)=1期、長野=と、新人で町議会副議長の久保山義明氏(53)=宮浦=が立候補を予定する町長選は目立った争点がなく、前哨戦では互いに、高齢化対策や子育て支援の在り方を主張している。町民の側からも少子高齢化対策の一層の充実を求める声が聞こえてくる。

 「子どもが増えているのに、環境づくりが追い付いていない」。子育て中の40代女性はこう指摘する。

 町は若い世帯を対象にした住宅取得補助金制度を2016年8月に開始し、制度を利用して3年間で398人が町外から転入した。0~5歳の人口は19年3月末までの5年間で69人増えて853人。昨年6月に定住促進住宅を造ったこともあり、子どもの増加に一定の効果を上げている。

 こうした傾向を受け、児童数が増加している基山小では将来的に、教室が不足する懸念が出ている。特別支援学級の児童も増え「支援員が足りない」と不安視する声もある。

 町教委によると、特別支援学級は現在、基山小に7学級、若基小に7学級ある。町は担任教諭に加え、子どもたちをサポートする支援員を配置しているが、転入などで児童数が増加しても、支援員の数を急に増やすことは難しいという。

 また、学習の遅れなどをサポートする「通級指導学級」は基山小にしかなく、若基小の児童は保護者が送迎して基山小まで通っている。町教委は「課題は多く対策が必要」と話す。

 20年ぶりの町長選自体は「政策を競い合う機会になる」と歓迎する声も多い。課題への処方箋をどう描くか、商工業の男性は「候補者それぞれの具体的な考えを示してほしい」と注文する。

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