佐賀の果物を使ったカクテルなども出している「Bar Blue Velvet」のオーナー・バーテンダー、田中紀子(みちこ)さん=佐賀市大財

 佐賀市大財にある女性バーテンダーの老舗「Bar Blue Velvet」。オーナーの田中紀子(みちこ)さんは店を開いて24年、現在地では14年ほどだが「ここまでの被害は初めてだった」と振り返る。同市内にもいまだ被害の爪痕が残っているとしつつ「今年は穏やかな日常の中で営業したい」と素朴な願いを口にする。

 8月28日は、バーカウンター内も一段高い客席フロアもつかり、冷蔵庫や冷凍庫、エアコン、トイレの便器まで故障し、買い換えを余儀なくされた。湿気がいつまでも飛ばず、壁だけでなく天井のクロスもはがれて張り替えが必要だった。営業再開は10月初旬までかかった。

 保険で出費は抑えられたものの「長く店をやっていると思い出の品もある。捨てる作業が一番つらかった」と田中さん。片付け中、九州の女性バーテンダー同士で撮った20年以上前の写真も出てきて、「こんな終わり方したくない」と気持ちが奮い立ったという。

 一方で近所には被害を受けて移転や廃業を決めた店もある。「店には公的支援も少なく、私たちにとっては死活問題。武雄や大町に比べてこっちは店の被害が主。もし全て住宅だったら大騒ぎになっていたのではないか」と感じる。正月に帰佐した同級生から「空けていた家の畳をようやくはいだ」という話も聞き、「水害はまだ終わっていない」と実感する。

 2月には営業25年目を迎える。「切り替えて、今まで通り楽しくやっていけたら」と願っている。

 電話090(1876)9994。

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