「令和」の時代に入って初の正月を迎えた今年、佐賀県東部の鳥栖市と三養基郡3町は、新しい時代の方向性を固める1年になりそうだ。

 その幕開けは、任期満了に伴い2月4日告示、9日投開票される基山町長選挙である。現職の松田一也町長(62)=1期=は昨年9月議会で再選への意欲を示し、後援会などと協議を進め、12月12日に正式に出馬を表明した。

 そのまま無投票になるとの観測が広がる中、年末ぎりぎりになって新人で町議会副議長の久保山義明氏(53)が出馬を模索しているという情報が町内を駆け巡った。新年早々の1月5日、久保山氏が記者会見を開いて正式に出馬を表明。一転して、2000年以来20年ぶりに町長選が行われる見通しになった。

 12日正午からは両陣営の事務所開きが数百メートルしか離れていない場所で同時に行われ、早速火花を散らした。「町を二分する」と選挙戦を回避したい意見も根強くあったようだが、首長を選ぶのはそこに住む人たちである。民意を反映するには当然、選挙戦が行われるのが望ましい。両氏が新時代へいかなる施策を論じるのか、しっかりと耳を傾けたい。

 「女子サッカーのまち」を宣言し、明るい話題でスタートしたみやき町は昨年、ふるさと納税の新制度から除外された。町はそれまで多額の寄付を集め、返礼品を納入する地元業者らも恩恵を受けてきた。除外期間は最短でも9月まで続くとみられ、復帰に備えた特産品開発などがどう進むか。

 上峰町の新しい拠点となるイオン上峰跡地の再開発は急きょ計画を見直すことになった。老朽化が進んでいた町の体育館やプールなどを再開発エリア周辺に新築する要望が出て、新しく策定する。21年夏オープンは遅れることがあるかもしれない。

 さて、佐賀県東部地区の中核、鳥栖市は次期広域ごみ処理施設、新庁舎の整備など堅実に進めるべき大型事業を数多く抱える。

 ごみ施設を巡っては昨年、現予定地は「災害リスクが大きい」として変更を求める声が市民から上がった。議会にも慎重な意見がある。専門家も年明けの市内での講演で適地ではないと述べた。

 一方で、市は建設地の変更は考えていない。建設主体は2市3町でつくる佐賀県東部環境施設組合だが、立地自治体として、大災害発生時に安定的な稼働をいかに確保するのか、他市町の利用者を含めて、より丁寧な説明が必要だ。

 現庁舎北側に建て替える新庁舎は国の制度変更や実施設計期間の延長などで当初計画より遅れている。20年度中の着工を目指す。工事期間は1年半~2年として、完成時期は公表していない。

 新産業エリアは引き続き用地交渉を進める。鳥栖駅周辺整備は「財源がない」としており、当面、動きだしそうにない。駅前にある鳥栖ビル跡地の臨時的な活用にとどまる可能性がある。昨年2月の市長選で掲げたメインの公約であり、なぜ遅れるのか、今後どうするのか、市民に説明する責任がある。

 佐賀県東部の市町は人口減、低成長時代にあって、大きなポテンシャルを有し、佐賀県にとってかけがえのない地域だ。令和の時代を見通して、いかに先手を打つか。足がかりを築く1年にしてほしい。(高井誠)

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