お披露目のミニコンサートに向け、準備を進めるまちづくりグループのメンバーとピアノの調律師たち=小城市牛津町の牛津まちなか交流館コンネ

 佐賀県小城市牛津町の空き店舗を活用した交流施設に、1台のアップライトピアノが設置された。武雄市の市民合唱団で長年活動し、2年前に亡くなった城野恭子さん(享年54)が生前に使っていたもので、鹿島市の遺族が「地域で役立ててもらえたら」と、知人でピアニストの吉富久美子さん(70)=佐賀市=を通じて贈った。施設を活用するまちづくりグループは、恭子さんの3回忌の法要が行われる2月2日に地域住民を招き、お披露目のミニコンサートを開く。

 ピアノは恭子さんが小学3年の時、音楽が大好きな娘のためにと母の大塚千鶴子さん(80)が購入した。恭子さんが結婚する20年ほど前まで自宅で開いていた音楽教室でも、生徒たちの練習用として使われてきたという。

 千鶴子さんは「高校時代まで毎日、ピアノに向かって練習し、トルコ行進曲をよく弾いていた」と懐かしむ。ピアノの提供を持ち掛けられた時には「行き場所を失っていたピアノが人の役に立つ形で生かされる。これほどうれしいことはない」と二つ返事で応じた。

 吉富さんは、牛津町の国登録有形文化財「牛津赤れんが館」で活用されているピアノの持ち主で、れんが館や交流施設を活用するまちづくりグループと親交があった。「交流施設にもピアノを置きたい」というグループからの相談を受け、かつて一緒に音楽活動をしていた恭子さんのピアノの提供を思い立った。

 交流施設は中心商店街の靴屋跡で、名称は「牛津まちなか交流館CONE(コンネ)」。地元のまちづくり会社が市の補助を受け、2018年に住民の憩いの場として運営を始めた。近くの小学生が勉強や遊びで訪れたり、高齢者サークルが発表会を開いたりしている。

 2日のミニコンサートは午後1時に始まり、吉富さんや地元のピアノ講師、牛津中の生徒たちがおよそ20年ぶりによみがえったピアノの音色を届ける。

 交流施設では今後も月1回程度、演奏会が開かれる予定で、ピアノの設置を企画したまちづくりグループの田中正照さん(65)は「たくさんの思い出や出会いをもたらしてくれたピアノで、地域の人たちと一緒に町を明るくしたい」と話す。

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