4月に運行されるコミュニティーバスの停留所ができる入口。現在は利用者のマイクロバスが止まる=佐賀市富士町のフォレスタ富士

 昭和自動車(唐津市)が町内14路線を含む計26路線の運行の見直しを明らかにしたことを受け、佐賀市は住民らによる町公共交通検討会議を昨年4月に立ち上げた。コミュニティーバスの運行方式などを9カ月間にわたって議論してきた。

 その結果、古湯を拠点に町内4エリアを回り、全体で平日65便、土曜日55便の運行が決まった。停留所は116カ所を予定し、これまでより22カ所が加わった。昨年12月に5日間実施されたコミュニティーバスの試験運行について男性(71)は「予約の煩わしさはあった。ただ、通学便だけだった自宅近くの停留所に昼間もバスが来てくれるようになる」と歓迎した。

 

●予約率目標に不安

 ただ、再編後も「日中の予約制バスは予約率30%を達成する」など設定された目標を下回れば再び見直し論議の俎上(そじょう)に上る。「利用が極端に少ない便がずっと維持できる保証はない」。男性は不安を吐露した。

 地域公共交通を確保する上で、自治体には公金投入の問題も重くのしかかる。佐賀市では、昭和自動車の路線バス維持のため運行経費から運賃収入を差し引いた赤字を国と県、市が補てんしてきた。町内で再編対象になった区間に関する市の補助額は18年度が2205万円。コミュニティーバスに移行した場合、補助額がこれまでの1・5~2倍になると市は試算する。

 

●人口減の歯止めに

 住民の生活を守るために公共交通のニーズに応えつつ、利用促進を通じて財政負担を抑制するという難しい課題が突き付けられている。昨年末に富士町内で開いた最後の検討会議で、市の幹部はアンケートで「コミュニティーバスを利用したい」との住民の声が多く寄せられたことを挙げ、「職員も勇気づけられ、これからも地域の公共交通をしっかり守っていこうと思った」と述べた。

 国は、人口減少や高齢化が進む中山間地域の目指す姿として、基幹地区に生活サービスや地域活動の場を置き、そこと集落を交通ネットワークで結ぶことで地域の再生・活性化を図る「小さな拠点」形成を描く。古湯をターミナルとする新交通体系は、その構想と重なって映るが、理想通りに進むのかは見通せない。

 交通拠点となる古湯の富士公民館「フォレスタふじ」には、今もほとんどの住民が自家用車で訪れる。吉浦明館長(69)はそれでも公共交通の重要性を感じている。「高齢化で免許返納もますます増える。高齢者が家族の送迎を受けずにバスで出掛けて交流できる地域であることが、人口流出の歯止めにつながる」。将来を見据えながら、これから始まるコミュニティーバスを出迎えていく。=第1章おわり

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