日本政策金融公庫佐賀支店 浜晋治支店長

 佐賀県内でも後継者のいない事業者は多く、県が実施した事業継承診断(2019年11月末時点)では37・2%が「後継者不在」と回答した。経営者の高齢化が進み、自分の代で廃業を考える人も多い中で、地域の活力をどう維持していくのか。日本政策金融公庫佐賀支店の取り組みを浜晋治支店長に聞いた。

 日本公庫佐賀支店は17年2月、県事業引継ぎ支援センターの「県後継者人材バンク」に登録した。市町や商工団体、金融機関などで構成する「県事業承継ネットワーク」でも発足当初(18年7月)から構成員になるなど、支援機関との連携を進めてきた。

 事業承継を円滑に行うためには、資金と情報の手助けが必要だ。18年8月に第三者事業承継が成立した野田自動車(武雄市)では、当初の運転資金は日本公庫が融資したが、最初から民間金融機関への移行を見据えて情報を共有していた。このように長いスパンで融資できる体制を整えることが成功の鍵になる。社外の第三者への事業継承も選択肢になるという意識喚起が重要で、事例集「ギフト」やワークブック「つなぐノート」でも事業承継について分かりやすく伝えている。自治体の補助金や国の税制特例措置などの支援策を知らせることも大切だ。

 黒字経営や他にない技術を失うのはもったいない。政府系金融機関として関係機関をつなぐ役割を果たしながら、事業継承に悩む経営者を支えていきたい。

 豪雨に襲われた県内の全市町に災害救助法が適用された19年8月28日、日本公庫佐賀支店は特別相談窓口を設置し、災害復旧貸し付けを始めた。災害復旧を最優先に考え迅速に対応し、災害地での出張相談も実施した。訪れた武雄市で「復旧・復興がなければ町のにぎわいは戻らない」と実感した。多くの事業者が融資制度を活用し、すでに再開した飲食店もある。今回の災害で、政府系金融機関が持つセーフティーネット機能を示すことができた。これこそ「日本公庫の使命」だと感じている。

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