昔の日本人には、ある特徴があった。足の親指の付け根に、ぽかっと丸いすき間があいていた。子どものころから下駄を履きなれた名残である。戦前、中国人になりすました日本のスパイは、捕まるとまず足を調べられたとか。作家神吉拓郎さんの随筆「下駄の歯並び」に教えられた◆もう一つ、日本人と中国人の判別に役立ったのが、顔の洗い方だそうである。日本は顔を固定して手をせかせか動かすが、中国では反対に顔を動かすらしい。生活習慣の違いは、知らず知らずお国柄を映し出す◆新型コロナウイルスによる肺炎が拡大している中国は、あすから旧正月を祝う「春節」の大型連休に入る。帰省や旅行でのべ約30億人もの移動が見込まれ、中でも日本は人気の観光地という。足元や洗顔方法で判別できるなら苦労はないが、解熱剤を飲んでいれば検知できないケースもあるというから、水際対策も容易ではない◆先日、テレビで感染拡大を防ぐ効果的な対策を紹介していた。日本人は手で口を押さえるが、ウイルスが手について、周囲の触れたものから感染が広がりかねない。それを防ぐため、欧米ではひじを曲げて口元に当てる「ひじくしゃみ」が一般的。お国柄を超えて学ぶところは大きい◆ただ、口元にひじを回しながらのおもてなしでは、隣国の客もいい気分はしないだろうが。(桑)

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