衛生管理を徹底した施設で、甘納豆やポリドリンクを製造販売する光武製菓の光武信一郎社長=武雄市北方町(撮影・山口源貴)

新商品のミルクセーキ味のポリドリンク。そのまま陳列できるように出荷箱もデザインを施した

家族で出掛けた福岡アンパンマンこどもミュージアム=昨年7月、福岡市

 ■甘納豆を製造する会社の3代目として2012年から社長を務める。

 昭和の初め、祖父の代に武雄市北方町で創業した。北部九州には炭鉱が多く、炭鉱労働者に甘納豆が飛ぶように売れたと聞いている。夏場に売り上げが落ちる甘納豆を補完するためポリドリンク(棒ジュース)の製造を始めた。現在、甘納豆は通年で、ポリドリンクは春夏の半年間製造し、売り上げは甘納豆が65%、ポリドリンクが35%ほどを占める。

 ■昨年は佐賀豪雨の影響が大きかったのでは。

 工場は1メートルかさ上げしているが、それでも浸水被害を受けた。掃除や消毒などで20日ほど操業できず、豪雨発生翌月の売り上げは半分になった。助けられたことといえば、業者らにすぐ来てもらい、笑顔で話してもらったこと。「こんなに浸水してしまい、どうなるんだろう」と途方に暮れたが、彼らと話しているうちに不安がなくなった。保険で全ては賄えず、金額的な被害はあったが、従業員に幸いけがはなく、全員出社してくれて本当に助かった。

 ■甘納豆業界の現状をどう捉えているか。

 いろんな菓子が出回る中、甘納豆全体の需要は徐々に減っている。砂糖が多い見た目も敬遠される一因かもしれない。以前、組合加盟社は全国100社を数えたが、今は12、13社。県内は1社、九州でも3、4社しかない。そんな中、わが社が今あるのは売り上げを積極的に投資に回し、機械化や衛生面で先行できたこと、先代が少量ずつの個包装販売を取り入れたことが大きかった。個包装は売り場でボリュームが出て見栄えがするし、購入者がシェアできるため年々需要が高まっている。

 同業者の減少に伴い売り上げ、シェアは右肩上がりで推移できたが、ここ1、2年は甘納豆が思うように売れない。材料費の上昇による値上げや消費税増税の買い控えの影響を多少なりとも受けているのではないか。

 ただ、製法が違う「黒豆しぼり」という商品は右肩上がりで売れ続けている。一定まで糖分を高めた後、水分を飛ばして糖度を上げ、「あまり甘くなく、豆の風味を感じる」と聞く。同じ製法の「芋グラッセ」という商品と合わせて、高齢者が中心の甘納豆より幅広い世代に購入層を広げようと取り組んでいる。

 ■仕事で感じている難しさや、そんな中、取り組んでいることはあるか。

 以前は安価で売れる商品を出したら、ある程度売れるめどがあった。しかし、働き方改革で大量に製造・販売して利益を得る方法は限界に来ており、いかに付加価値をつけて新たな利益を生み出すかがかぎになっている。最近は、新しい商品は売ってみなければ分からない。それが難しさでもあり、楽しさでもある。

 外部に任せていたパッケージデザインも自社で考え、可能性を新たに追求したい。3月に発売するポリドリンクのミルクセーキがその第1弾で、時期によって段ボールの色を変え、夏は水色で「凍らせておいしい」、冬は暖色で「温めておいしい」と書いてある。

 「まず作って売ってみる、売れなければ売りながら改善する」というスタンスで、私は「失敗」というものはないと考えている。やらなければ得るものは何もないが、やってだめでも経験は残る。

 

 ■みつたけ・しんいちろう 武雄市生まれ、44歳。大町小、中学-白石高、九州産業大学経済学部卒。2003年に入社し、12年から現職。3歳と1歳の1女1男の父。

 

■好きな言葉

 努力に勝る天才はなし

■好きな雑誌

 ワールドサッカーダイジェスト

■好きな映画

 「ゴッドファーザー」「タクシードライバー」「レオン」「北の国から」

■好きなアーティスト

 山下達郎

 

 

 =オフタイム=ネクタイが好き

 海外のサッカー観戦が好きで、ネクタイとポケットチーフ集めが趣味。ネクタイは70本は持っていて、店員の「1点ものなんですよね」という一言に弱く、「そう言われると買ってみたくなる」と笑う。スーツが大好きで、「かちっとした服装をすると心身ともに締まる気がする」と話す。

 幼い頃は外で野球やサッカーをして遊んだ。足が速く、もっと速く走れるようにと小学校の先生につま先立ち歩きを勧められて実践。中学時代はバスケ部だったが陸上の大会前には選抜されて出場し、100メートルを12秒で走った。高校では物珍しさに引かれて弓道部に入り、「中学まで続けたつま先立ちが、意味がなくなってしまった」とも。

 3歳の女の子と1歳の男の子がいて、お風呂に入れたり、近くの公園に遊びに行ったり子育て中。以前は沖縄に毎年行っていたといい、「沖縄は海が段違いにきれい。街の雰囲気なども好きで、早く子どもたちを連れて行きたい」。

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