好記録が続出した伊万里ハーフマラソン。成績上位者の大半がナイキの厚底シューズだった=13日、伊万里市

ナイキ社の厚底シューズ(中央)。トップ選手だけでなく、市民ランナーの注目も集めている=佐賀市のコイケスポーツ

 陸上長距離界を席巻している米スポーツ用品大手ナイキの「厚底シューズ」が佐賀県内でも広がっている。正月のニューイヤー駅伝、箱根駅伝などでの記録連発で注目が高まり、競技選手だけでなく、市民ランナーにも浸透してきた。価格は約3万円だが、スポーツ用品店には問い合わせが相次いでいる。一方で人によっては膝などを痛める懸念があるとされるほか、シューズ効果の大きさに「納得いかないが使うのも仕方ない」と複雑な思いの競技関係者もみられる。

 13日に伊万里市で開かれたハーフマラソン大会。1991年の世界選手権男子マラソン金メダリストで、2度の五輪に出場したゲストランナーの谷口浩美さん(59)は、スタート前に会場を見渡してあいさつした。「ナイキの靴を履いている人が今日もいっぱいいますね。ぜひ、自己記録を更新していただければ」

 この日は気象条件に恵まれたこともあり、大会新記録が続出した。上位入賞者の多くは厚底シューズを履いていた。

 厚底シューズは炭素繊維のプレートが埋め込まれ、高反発が特長。最初のモデルの発売は2017年で、競技関係者の間ではすでに広く知られていたが、最近の記録ラッシュで一気に脚光を浴びた。流通量が増えたこともあり、一般にも手に入りやすくなっている。

 佐賀市のコイケスポーツには現在、月100件ほどの問い合わせが寄せられている。同店は「履く人のパフォーマンスを引き出してくれる靴」とする一方、日ごろ十分な練習をしていない人はオーバーワークになる可能性も指摘。来店客に対し、商品の特性を十分に説明した上で購入の判断をしてもらっている。

 10年連続で全国高校駅伝に出場した鳥栖工高では部員の約半数が履く。古川昌道監督(53)は部員のシューズ選びに口を出したことはなかったが、記録更新が相次いだ昨年12月の全国高校駅伝の結果を受け、「これからはシューズに合わせていかないといけない」と部員に話すと利用が広がったという。

 一方で懸念も抱く。かかとから接地する人や膝が外側を向いている人などを例に挙げ、「骨格やフォームに癖がある人はけがをする恐れがある」と指摘する。

 世界陸上競技連盟(世界陸連)が使用規制するとの報道もあり、陸上競技界に波紋が広がる。古川監督は「道具の進化に人が追いつかないといけない時代なのかな」と複雑な思いをのぞかせた。

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