2019年の1年間に佐賀県内で運転免許を自主返納した人は、前年より768人多い3820人に上り、過去最多を更新したことが県警のまとめで分かった。うち65歳以上の高齢者は3704人で、全体の97%を占めた。高齢運転者の交通事故の社会問題化や認知機能検査を強化した改正道交法を背景に近年増加傾向にあったが、19年4月に東京都豊島区東池袋で暴走した高齢者の車が母子2人の命を奪った事故を受けて、さらに増えたとみられる。

 県警運転免許課によると、返納した人は75歳以上が2862人(74・9%)、70~74歳が586人(15・3%)、65~69歳が256人(6・7%)だった。理由は「身体機能の低下の自覚」が3362人(88・0%)と最も多く、「運転の必要なし」が261人(6・8%)で続いた。親族ら代理人による申請での返納は前年より28人多い340人だった。

 月別でみると、19年1~4月は200人台で推移していたが、東池袋の事故があった翌5月は366人、6月は418人と急増。7~12月も前年を上回るペースで、8月を除き300人台だった。同課は「母子の命が奪われた事故の衝撃が高齢者や家族にとって相当強く、運転に不安がある人が返納する契機になったのでは」とみる。

 17年3月施行の改正道交法では、75歳以上の運転免許保有者は免許更新時に加え、新たに信号無視など18項目のいずれかの交通違反をした場合も認知機能検査を受けることが義務づけられた。昨年は県内で計1万8035人が検査を受け、641人が認知症の恐れがある「第1分類」。該当者は速やかに医師の診察を受ける義務があり、半数程度が免許を返納したという。

 県警は昨年4月、運転免許課内に「シルバードライバーズサポート室」を立ち上げ、相談体制の充実や高齢者向けの技能教習、市町との連携などに力を入れている。同課の野口一幸交通聴聞官は「運転に不安がある人や家族の方は相談してほしい」と呼び掛けている。

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