〈屋外のこの静けさやものものし起きいでみればはたして大雪〉岡山巌。大雪の日の静けさは、降る雪片や積雪によって音波が吸収され、交通の遮断で戸外の音がしなくなることによる。お天気博士の倉嶋厚さんが著書で紹介していた。だが、今季は様相が違う◆東北や北陸で雪不足が続き、スキー場が苦境にある。この地方には「一里一尺」という言葉があり、一里(約4キロ)北に行くごとに積雪は一尺(約30センチ)の割合で深くなるというが、例年にない少雪だ◆雪のない「雪害」。倉嶋さんは気象庁で防災気象官を務めていた当時、少雪が気象災害としてどう認識されていたか調べたことがある(『日本の空をみつめて』(岩波書店)◆それによると、スキーやスケート場の閉鎖は間接的な被害のため気象災害として特定されておらず、農作物の出穂(しゅっすい)・開花の早まりによる収量や品質の低下、海水温の上昇によるノリの不作などが暖冬害として挙げられていたという。例えばウメは開花が早すぎると花粉の交配が順調に行われず減収となる◆豪雪地帯だけではない。佐賀県ではいまだ「初雪」が観測されていない。佐賀地方気象台のデータで過去最も遅い観測は1954(昭和29)年1月25日。暖冬で66年ぶりに記録を塗り替えそうだ。大雪は困るが、冬らしさがないと生活への影響も大きい。(丸)

下記のボタンを押すと、AIが読み上げる有明抄を聞くことができます。

このエントリーをはてなブックマークに追加