薄暮の鳥栖駅

 令和最初のお正月。元日は天気も良く、筑後川での描き初めはいつもより筆が進んだ。川べりのアシの上をカモメがゆっくり翼を広げて通り過ぎる。その風切り羽根のしなやかな動きが美しい。思わず絵筆が止まる小さな感動。今年も一歩一景で自然から学ぼう。

 鳥栖駅を描きに電車で行く。出掛けるのが遅くなり、あっという間に冬の暮れである。駅舎の周りが暗くなり、売店などの照明が明るさを増してくる。懐かしいぬくもりがある。

 この駅は明治22(1889)年の開業で、現在の駅舎は明治36(1903)年に建築された。20世紀初頭の新しい空気に満ちた「アールヌーボー」の時代であった。玄関の車寄せの屋根や柱には、アールデコ様式やドーリヤ様式風のデザインに当時の面影を見ることができる。古くてもおしゃれなロマンのある駅である。(佐賀女子短期大学名誉教授 山田直行)

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