福岡から邪馬台国論争を論じてきた季刊『邪馬台国』の創刊40周年記念号

 福岡市の梓書院が発行する季刊『邪馬台国』が創刊40周年を迎え、最新の第137号は邪馬台国論争を特集する。初代編集長で芥川賞作家の野呂邦暢氏が掲げた「専門家とアマチュア研究家の架け橋に」という理念どおり、古代史最大の謎に挑む多彩な顔ぶれが最新の論考や持論を展開している。

 九州説と畿内説に分かれて江戸時代から続く邪馬台国論争。編集部は平成以降30年間で論争の行方に多大な影響を及ぼした遺跡として、吉野ケ里遺跡と奈良・纒向(まきむく)遺跡を挙げる。

 高島忠平佐賀女子短大名誉教授は魏志倭人伝の記述と考古学資料を付き合わせて邪馬台国の成立要件を考察し「九州北部と考えるのが合理的」と導き出す。纒向遺跡の発掘調査にあたった石野博信氏は九州を含め各地域の遺跡間の交流関係や大陸、朝鮮半島との交易を探り「纒向遺跡に卑弥呼か台与(とよ)(2代目女王)の王宮があったと決定されるだろう」と推論する。

 同誌懸賞論文で注目を集めるようになった古代史研究家の奥野正男氏、第2代編集長で統計学的手法からアプローチする安本美典氏も寄稿。エッセーや編集部座談会を含め、邪馬台国論争の流れと現状を俯瞰(ふかん)でき、読み応えがある。

 ▼A5判、228ページ、1485円(税込み)。

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