年末年始の報道の中で、最も気になったのは、2019年の日本人の国内出生数が86万4千人と90万人を割り込み、過去最少になるのが確実になったというニュース。約97万人と、初めて100万人を割り込んだ16年からわずか3年で約10万人減少。仮に、年間85万人の出生数を今後維持できたとしても、単純計算で日本の人口は80年後には6800万人に減少する。「数は力」である。少子化と人口減対策は喫緊の課題だ。

 子どもはその家族にとってはもちろん、社会全体にとっても宝物。子どもが無事に産まれるまでも大変だが、育て上げる責任、労苦はそれ以上のものがある。しかし、子どもの存在が大きな支えとなり、ともに喜べる時は多い。一朝一夕にはいかないだろうが、子育て支援と、教育をはじめとする人材育成に重点投資し、人口減少に歯止めをかけたい。

 少子化の原因は晩婚化に加え、仕事と育児の両立が難しいことなどさまざまだが、最大の理由は「子育て、教育にお金がかかりすぎること」といわれている。終身雇用が崩れ、将来への不安が増す中、経済的理由から、子どもを持つことをためらう若い夫婦が増えている。

 そうであるならば、全世代型社会保障ではなく、若い世代に財源を集中すべきではないか。昨年10月の消費税増税で生まれた財源を、幼児教育無償化に回したことは納得できる施策の一つだ。

 子育て支援に加え、子どもたちに質の高い教育を提供したい。少子化の中、小中学校の在り方が論議され始めているが、統廃合ではなく、少子化で生まれたゆとりを生かし、少人数学級などきめ細かな教育につなげたい。加えて、高等教育の無償化も実現したい。多少無理をしてでも、思い切った「投資」で豊かな知見、発想力を持った子どもたちを育成し、その人材が新しい産業を生み出し、雇用の創出などで地域に恩返ししてくれると考えよう。世代間のコンセンサスをとり、少なくとも今後30年は子育て世代への手厚い支援を進めるべきだ。

 経済的支援策に加え、子どもの成長を支え、子どもたちを見守る地域の力も、これまで以上に問われている。行政任せにせず、傍観者で済ませるのではなく、住民自らが子育て支援に参加し、楽しむことが大事ではないだろうか。

 学校の登校時間と重なった通勤途中のこと。横断歩道を渡った男児が、登校見守りの地域住民と笑顔でグータッチしていた。2人がどんな関係なのか、それが毎朝のことなのかは分からない。しかし、そのあいさつが励みになっているのではないかと感じた。

 地域挙げての子育て支援は、子どもを持つ若い夫婦にとって、精神的な支えになる。血縁の祖父母にはなれなくても、「地縁の祖父母役」を個人的に買って出てもいいではないか。損得を抜きにして、「若い親たちの力になってあげたい」という地域住民はきっといる。その意味で、佐賀をはじめ、人と人のつながりが緊密な地方は、都会にはない可能性を秘める。身近にできる子育て支援策を地域住民自ら考え、行政と連携して進めていこう。時間はかかるかもしれないが、そんな積み重ねで、地方から少子化に歯止めをかけられると考えたい。(中島義彦)

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