佐賀牛の香港での消費拡大のため、香港のシェフや流通業者を招き開かれた佐賀牛の調理説明会=2018年10月、佐賀市のアバンセ

 香港で続くデモが佐賀のブランド牛「佐賀牛」の輸出に影を落としている。香港は佐賀牛のメインの輸出先だが、デモに伴うレストランの閉店などに伴い、輸出量が直近3カ月で前年に比べ3割以上減っている。関係者は「とても心配。輸出が減っていくと国内価格にも影響を及ぼしかねない」と、終息が見えない香港の混乱に気をもんでいる。

 

 佐賀牛は国内の他のブランド牛に先駆けて2007年から輸出を始めた。現在は台湾、シンガポール、タイなど8カ国地域に輸出している。最初の輸出先の香港は一貫してメインの市場で、18年度の輸出実績約69トンのうち6割近くを占める。サシ入りの柔らかな肉質が現地の富裕層に好まれている。輸出は右肩上がりで増え続け、この11年で3・8倍まで拡大した。

 香港で逃亡犯条例改正案を巡りデモが始まったのは、昨年6月。佐賀牛の輸出実績を見ると、5月は対前年比15%増、6月は53%増と好調だったが、7月になると7%減、8月は1%減とマイナスに転じた。9月は39%減と大幅減で、10月が13%減、11月も42%減と明らかに従来にない減少傾向に入っている。

 香港には佐賀牛・佐賀産和牛を扱う指定店舗が約70軒ある。JAさが畜産部は「佐賀牛は高級レストランでの消費が大半。大規模デモによる中心部の混乱で来店客が5割ほど減ったり、店自体がオープンできなかったり状況は深刻だ」と説明。「このまま混乱が続くと、輸出量は減るばかりだ」と頭を抱える。

 市場関係者は、順調に伸びてきた佐賀牛の出荷量について、海外輸出やふるさと納税がけん引してきたと分析する。「香港ほど量が出る所はない。いろいろな条件を経て輸入実績があるわけで、他国に簡単に振り分けられない。昨年6月からふるさと納税の返礼品も規制され、佐賀牛の価格が落ちないか心配している」と先行きを懸念している。

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