今年の干支(えと)ネズミをめぐる言い伝えはさまざまある。手元の『故事・俗信 ことわざ大辞典』(小学館)には130もの用例があった。「ネズミが木登りをすると水害がある」など災害にまつわる故事やことわざが目を引く◆ネズミに限らず、動物の異常行動が災害の前触れとして受け止められてきたのは興味深い。そんな前兆現象を東京消防庁が雑学と前置きして紹介している。ことに地震をめぐってはネズミが時折、登場する◆1854(嘉永7)年の安政東海・南海地震では「地震前、ネズミがいなくなり、地震後にまた戻ってきた」。1923(大正12)年の関東大震災でも「3、4カ月前、横浜港に近い下町の方で多数のネズミが道路を横切って移動するのを見た」とある◆東大地震研究所教授や地震予知連絡会副会長を務めた力武常次さんは、ネズミや鳥が見せる異常行動を分析。「不明確な点が多く、これだけに頼って地震予知をするわけにはいかない」としながらも「科学的検討を進める価値は大いにありそう」という◆ただ、予知ができたとしても大規模地震が発生した場合はとうてい対応できない。備蓄、避難経路、情報源の確保など日ごろの備えが欠かせない。阪神大震災から25年。未曽有の災害をどう教訓とするか。最近、関東などで地震が頻発しているのも気がかりだ。(丸)

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