東京五輪・パラリンピックまで200日を切った。佐賀県内で行われる聖火リレーの詳細ルートと一部ランナーが昨年末に公表され、沿道住民やランナーは胸を高鳴らせていることだろう。こうした関係者にとどまらず、県民全員が当事者意識を持ち、56年ぶりの自国開催の祭典に向け機運を高めたい。

 1964年東京大会の聖火リレーは、全国を四つのコースに分け、中学生から20歳までの870人が1~2キロずつ担当した。太平洋戦争敗戦から初めて迎えるビッグイベントを成功させるため、戦後日本を背負って立つ若者たちが選ばれた。ルートの沿道は声援を送る人であふれ、その中を、ランナーたちは誇らしげに走った。

 今回の聖火リレーは大きく様変わりする。ランナーの前後に警察や消防、救護、スポンサー車両などが隊列を組んで進み、パレードのようなスタイルになるという。一人が担当する距離も約200メートルと短い。東京都が2月15日に実施するリハーサルを見れば、リレーのイメージを思い浮かべることができそうだ。

 聖火リレーは、東日本大震災の被災地で東京電力福島第1原発事故の対応拠点となった福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」を3月26日にスタートし、121日間で47都道府県、858市区町村を巡る。東京五輪の大会理念は「復興五輪」であり、聖火リレーのコンセプトは「希望の道を、つなごう」。東日本大震災、熊本地震、そして昨夏の佐賀豪雨など被災地の多くの人たちに、文字通り希望を与えるものになることを願う。

 佐賀県の通過は21番目だ。長崎県から引き継ぎ、5月10日から2日間かけて全20市町の18区間34・4キロを駆け抜ける。初日は藤津郡太良町の「大魚神社の海中鳥居」前を出発。鹿島市、武雄市、東松浦郡玄海町などを経て、ゴールの唐津市へ。11日は三養基郡の基山町役場をスタートし、神埼市、小城市、多久市、杵島郡江北町などを通って佐賀市に入り、県立博物館・美術館前でゴールする。11日は月曜だが、ルート沿道の学校や企業は柔軟に対応し、一人でも多くの県民が応援に駆けつける機会をつくってほしい。

 県内を走る聖火ランナーは約180人。このうち、県実行委員会が推薦と一般公募で選出した44人を昨年12月17日に公表した。最年少は小学6年の児童で、最高齢はみやき町と上峰町の74歳の男性だった。全体の7割超を占めるスポンサー企業枠などで選ばれたランナーも順次通知されている。

 昨夏に共同通信が東京五輪に関して実施した全国自治体アンケートによると、「聖火リレーで実現したいこと」(複数回答)では「地元の小中学生、高校生、大学生の走者起用」が51・6%で最も多く、佐賀県内でも61・9%で最多だった。県実行委が公表した44人のうち、こうした大学生以下のランナーは8人にとどまるだけに、スポンサー枠では多くの若者が選出されてほしい。

 地方に暮らす者にとって、東京五輪はまだ遠い存在と感じるのが本音だろう。しかし、大会の成功は、日本全体でいかに盛り上げていけるかに懸かっている。佐賀県内のそれぞれの地域で、レガシー(遺産)として残る聖火リレーが繰り広げられることを期待する。(市原康史)

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