政府は今月20日から始まる通常国会に、「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対する規制を強化する法案を提出する。取引先企業との契約条件の開示や、運営状況の政府への報告を義務付ける。

 圧倒的な市場占有率を背景にした彼らのビジネス手法が、経済の健全な発展を妨げているのは論をまたないだろう。しかし、既存の法制度の枠組みでは対応が難しい現象が徐々に増えている。

 企業活動を萎縮させるほどの過剰規制は避けなければならないが、さまざまな経済主体がインターネット取引を公平に利用できるようにする新たなルールは必要だろう。この法案がその土台となるよう望みたい。政府は、国会での論戦や民間事業者の要望なども踏まえた上で、実効性を伴う具体策を整備しなければならない。

 買い物、交通機関、飲食店の予約、ちょっとした情報の検索―。ネット利用は日常生活に深く浸透し、もはや、それなくしては生活できない状況になっていると言っても過言でないだろう。企業活動や政府、自治体の運営もしかりだ。

 このネット空間を世界規模で牛耳るのが、頭文字から「GAFA」と呼ばれるグーグル、アマゾン・コム、フェイスブック、アップルの米IT大手4社だ。日本市場にも進出し、日本勢のヤフー、楽天などをしのぐ大きな存在感を示している。

 中国もこの分野では強大な企業群を抱えている。日本市場にはまだ本格参入していないが、検索の百度(バイドゥ)、ネット通信販売のアリババグループ、通信アプリの騰訊控股(テンセント)、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の4社も頭文字から「BATH」と呼ばれ、「GAFA」に対抗する勢力となっている。いずれ本格参入するとみられており、その前にルールを整備する必要もあった。

 IT大手のビジネス手法で問題とされたのは、自ら通販サイトを運営する圧倒的に強い立場を利用し、出店する中小事業者に、不利な条件を課していたことだ。一方的に手数料を値上げしたり、出品価格についても引き下げを強要したりしていた例が報告されている。これでは中小事業者は泣き寝入りせざるを得ない。

 さらに、有力な技術を保有し、将来ライバルになる可能性のある新興企業を、巨額に上る自己資金にものを言わせ買収、自陣に取り込んでしまうケースが米国であった。こうした事例が続けば、せっかくの「革新の芽」がつぶされ、経済の活力が失われる。

 消費者にとって脅威になっているのは、氏名、年齢、性別、買い物、ネット閲覧履歴などの個人情報が、IT大手に筒抜けになっている恐れがある事態だ。業者は利用時に同意を得ていると主張するが、難解な説明文を利用者に提示し、ワンクリックで同意を得たとしてもそれは形式的にすぎない。

 こうした点を是正するため、政府は独禁法の運用指針や個人情報保護法などを見直し、中小企業者や消費者の保護を強化する。デジタル経済は日進月歩の世界だ。一度決めた仕組みに拘泥することなく、状況に合わせ、対策を修正する必要性もあるだろう。そうした事態に政府は迅速に対応できるだろうか。ITに強い人材の採用、育成の強化も急務だ。(共同通信・高山一郎)

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