一人親家庭などを対象に、自然農法で栽培したお米を寄付している北村広紀さん=佐賀市川副町

 長年にわたり農薬や肥料、堆肥を使わない「自然農法」で米作りをしている佐賀市川副町の北村広紀(ひろき)さん(62)が、収穫から1年たった古米を全国の子ども食堂や福祉関係の団体に寄付する活動を続けている。本年度からは「喜んでもらえるなら」と、支援を必要としている一人親家庭などの個人にも贈り先を広げ、生活苦や子どもの健康面への配慮から希望する声が寄せられている。

 「小学生の子どもが不登校気味のため、フルタイムで働くことができず月10万円以下の収入で生活を切り盛りしています」。昨年12月、県外のある女性から北村さんにメールが届いた。女性はシングルマザーで、一人親家庭からの初めての寄付依頼。「これくらいあれば当分は大丈夫かな」。北村さんは保管していた古米を精米し、20キロ分を袋に詰めて発送した。

 北村さんは「体にいいものを」と30年以上前から自然農法に取り組み、川副町の185アールの水田でコシヒカリを栽培している。近年はブランド化に力を入れ、県内外で取り扱い先も増えているが、認知度不足もあって毎年数百キロ分は余るという。「捨てるのはもったいないし、古米でも十分おいしい。寄付すれば誰かの役に立ち、自然米を知ってもらう機会にもなる」。新米と入れ替わる秋以降に古米を寄付することを決め、2017年度から始めた。

 依頼はメールや北村さんのブログを通じて届き、1件につき20キロ分を送る。17年度は500キロ、18年度は700キロを寄付した。県内をはじめ、北海道や東北地方からの依頼も。昨年夏に寄付先から金銭面で困っている知人への支援を相談されたことを機に、個人にも対象を広げた。19年度は1千キロ分を用意し、ブログや口コミで知った一人親家庭など個人からの依頼は、これまでに計11件に上る。

 北村さんは許可を得た上で、寄付希望者から届いたメッセージをブログで紹介している。「求職中で生活が厳しい。娘と私がアトピーをぶり返し、安全なお米を食べさせたい」「少し体の弱い息子に体にいいものを食べさせられるのでとてもありがたい」などとシングルマザーの思いがつづられており、北村さんは「発信することで支援の輪が広がっていけば」と話す。

 寄付は着払いで、送料のみ希望者負担となる。依頼はメールmutugorou.1315@ezweb.ne.jp。北村さんのブログからも申請できる。

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