神埼郡吉野ヶ里町松隈地区の小水力発電所を建設する予定地=同町松隈の田手川上流

 神埼郡吉野ヶ里町松隈地区が全40世帯で株式会社を設立し、小水力発電所の建設計画を進めている。高齢化が進む中で自立した地域づくりを目指しており、発電した電気を、国が定めた価格で電力会社が買い取る仕組みで生まれる収益を、地区の道路や水路などの維持管理費に充てる。4月の着工と7月の完成を目指している。

 小水力発電所を設置する場所は松隈地区の集落の北西で、田手川上流の川沿い。佐賀県と九州大学発のベンチャー企業「リバー・ヴィレッジ」が、小水力発電の普及を目指して2016年度から県内で絞り込んだ候補地の一つで、水の落差や導水管を敷く費用の面から適地とされた。

 6畳ほどの広さの小型コンテナを設置し、中に発電機を据える。県などによると、発電量は年間22万2912キロワット時で、収益は年間757万9千円を見込んでいる。建設費は19年9月試算時点で約6400万円で、松隈地区の自己資産と設立した株式会社が申請した融資を充てる。

 松隈地区は65歳以上が占める高齢化率が36%と高く、用水路の管理などの負担が大きくなっている。そのため、適地とされた小水力発電に取り組む方針を18年6月の臨時常会で決め、収益を水路や農地の維持管理、有償ボランティアの雇用などに生かそうとしている。

 昨年10月には事業主体の「松隈地域づくり株式会社」を設立し、11月に全世帯が株主になった。収益の配当はせず、建設費の返済や発電所の維持管理費、地区運営費に充てる。同社代表取締役の多良正裕さん(69)は「小さな集落の大きなチャレンジ。高齢化が進む中で、自立した地域づくりのモデルになれば」と話している。

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