口というのは、ふだんその大切さに目がいきませんが、食べることや、話をするという重要な機能を担っています。口が乾いていると、舌が自由に使えなくなり、発音もスムーズにできなくなります。喉が渇いていると、喉が詰まったようになり、声の通りが悪くなってしまいます。

 ある方はもともとあがり症で、人前で話をする時は極度に緊張します。それで喉の調子がおかしくなり、カラカラになります。すると声が思うように出てこなくなります。ある時は、全く声にならなくて、立ち尽くしたままです。恥ずかしかったと思います。額に汗をかいているのに、口の中は乾きっぱなし。変だと思いませんか。

 喉を診てもらっても異常はありません。その方のかすれ声を聞いて、いわゆる口腔乾燥症と分かりました。

 これは精神的なものが左右し、一般には異常は見当たりません。症状を改善するには、会話する時に、口の中を唾液で潤せばよいのです。

 私たちの体は食べ物からできています。口は、食べ物が入る最初の場所ですから、食べ物が変われば最初に変わるのは口だと思います。食べ物を水分で流し込んで食べていると、唾液が出なくなってしまいます。水分がある時は話しやすいですが、なくなった時は会話がしにくくなり、水分がなくなった状態と同じ口腔内環境になりやすくなります。しかし、唾液は消化などに欠かせない大切なもの。食事中にお茶など水分を補給する時は、いただきますの後に一口飲んで喉を潤し、ごちそうさまの後に残りを飲むようにします。水分は、消化などを助けてくれる唾液の代わりには決してなりません。水などで流し込んで食べないようにしましょう。

 咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)機能に障害がなくても、唾液が少なくなると粘膜の乾燥から飲み込む力、会話力が低下します。唾液分泌を促す意味からも、口腔ケアの徹底や食物形態の工夫、かみ合わせ状態の改善が必要です。唾液分泌の改善だけでも、口腔内改善は見込めるものです。

 (参考文献 少年写真新聞社・だ液学)

 (佐賀市 北村歯科医院院長 服部信一)

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