「関東震災時救護活動」(1924年、佐野常民記念館蔵)

「岐阜県・愛知県濃尾地震之図」(1891年、佐野常民記念館蔵)

「岩代国磐梯山噴火之図」(1888年、佐野常民記念館蔵)

阪神大震災で被害を受けた雑居ビル(出典・消防防災科学センター)

明治の噴火、地震に向き合う

 1995年1月の阪神大震災から25年。自然災害からの負傷者救護に尽力したリーダーの思いに触れる。佐野常民記念館の企画展は、日本赤十字社初代社長を務めた佐野がたどった災害救護の足跡をたどる資料など82点を集めた。自然と隣り合わせで生きる私たちが、災害の脅威を知り、どう向き合っていくかを学ぶ機会となる。

 佐野の時代も全国各地でさまざまな災害が発生した。当時、赤十字社の方針は戦争の負傷者救護だったが、1888(明治21)年7月の磐梯山(福島)噴火に医員が派遣され、薬や包帯が届けられた。

 91(明治24)年10月には、7000人以上が亡くなった濃尾地震(マグニチュード8)が発生。被災地からの要請を受け救護班派遣を決定した。日赤は自前で養成した看護婦たちを初めて班に配属。佐野は、看護婦らを激励し「真心をもって救護に当たる」など三つの要件を守るよう説いた。

 企画展では磐梯山噴火や濃尾地震の惨状を伝える錦絵をはじめ、190万人が被災した関東大震災(マグニチュード7.9)で赤十字社が皇居前に臨時テントを設けて救護に当たる図など多様な資料を紹介。平時からの備えを唱え続けた佐野の情熱が、災害時の救護体制の確立につながったことを伝える。

 また、近年の災害にも目を向ける。1990年11月から95年2月まで続いた雲仙岳(長崎)の噴火で溶けて原型を失った瓶は災害のすさまじさを生々しく伝える。阪神大震災や2011年3月の東日本大震災の写真パネルも多数展示している。

 同館の山口智世学芸員(31)は「昨年の佐賀豪雨で私たちは、災害がひとごとではないと再認識させられた。平時からの準備の大切さを説いた佐野の思いを知り、防災について考えるきっかけにしてほしい」と話す。

 

 ▼「佐野常民 救護の歩み-今、自然災害と向き合う-」は佐賀市川副町の佐野常民記念館=電話0952(34)9455=で26日まで。観覧料は大人300円、小中高生100円。19日午後1時半から非常用ろうそくを作る体験学習。

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