長崎原爆資料館に寄せられた千羽鶴を再生したポストカード=佐賀市大和町の工房

千羽鶴と、折り鶴をすき込んで加工したポストカードを手にする名尾手すき和紙7代目の谷口弦さん=佐賀市大和町の工房

 佐賀県佐賀市大和町の和紙工房「名尾手すき和紙」は、長崎原爆資料館(長崎県長崎市)に寄せられた千羽鶴を和紙に再生する。資料館は大量に保管する千羽鶴の活用に苦慮していた。工房では千羽鶴を解体して和紙にすき込んでポストカードに加工、千羽鶴に込められた平和への思いを新たな形で発信していく。

 資料館には全国の修学旅行生などから毎年千羽鶴が届き、倉庫も満杯になっている状況だ。同館は再生紙への活用に取り組むが、糸などの異物や再生しにくい千代紙、金銀紙を選別する手間やコスト高で受け入れる企業が少ないという。

 資料館から引き取った折り鶴を原料にお香を作っている長崎県波佐見町の町おこし団体金富良舎(こんぷらしゃ)から昨年12月、折り鶴再生の取り組みへの参画の打診を受けた。工房では雑誌やコーヒー豆などの異素材をすき込む取り組みをしており、7代目の谷口弦さん(29)は「情報を紙にすき込み再生する考え方が一致した。千羽鶴を折った人の思いや平和を考えるきっかけになれば」と千羽鶴を譲り受けた。

 手作業が中心となる工房ではカジノキが原料。細かく分解した折り鶴を混ぜ、色とりどりのポストカードにする。価格や販路は未定だが、手始めに1月24日に長崎市で始まる「長崎ランタンフェスティバル」で販売。その後も加工を手がけて販路を広げるほか、別の製品への再生も模索する。

 谷口さんは昨年亡くなった祖父から「ここからもキノコ雲が見えた。佐賀駅ではやけどで血まみれになった人たちが流れてきていた」と当時の話を聞いたこともあり、「隣県のことで、人ごとじゃない。多くの人が千羽鶴を共通の思いでつくったことを考えるだけでも(再生の取り組みに)意味があると思う」と力を込める。

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