「手話言語条例」議案を可決した唐津市議会。行政にも議員にも独自の政策立案能力が求められている=昨年12月

 例年、新年号の1ページを使って佐賀県内の首長・議員選挙の日程と展望を掲載しているが、今年は2月の三養基郡基山町長選と杵島郡江北町長選だけ。ある意味、静かな年だが、2021年は佐賀、唐津など7市町で首長選、5市町で議員選が控える。出馬、擁立に向けた助走は既に始まっている。

 選挙のたび問題となっているのが「なり手不足」だ。1人を選ぶ首長選の無投票はそう珍しくなかったが、地方議員選にまで広がっている。議員報酬の問題、やりがいや誇りが感じられないことなど幾つかの理由が指摘されている。兼業規制の緩和など条件整備も提起されているが、そう簡単ではない。ならばまず議員の日常を知ることから処方箋を考えてみたい。

 議員活動の実態が見えないといわれるが、最近は自らSNS(ソーシャルメディア)で発信する議員も増えた。唐津市の45歳の1期生議員もそんな一人だ。高校まで唐津で過ごし、大学卒業後、英会話学校のマネジャーとして各地を転任した。そうした生活に疲れを感じるようになり、2006年、帰郷。まちづくり会社に入り、商店街の再開発に関わった。

 行政、商店主、市民も思いは同じなのに、うまく進まず、誰かのせいにする。どこに問題があるのか。行政内部から変えたいと思った。しかし年齢的にも職員にはなれない。そこで議員に挑戦した。

 一般質問の前後には質問項目をSNSに上げ、双方向の中で民意のありかを探る。地元の中高生や東京の大学生と一緒に地域の明日を考える。自分が頑張れば頑張った分だけ反応があると実感する。

 議員報酬は月額43万8千円。家族は妻と子ども3人。地場の水準からすれば安くはないが、交際費がかさむ。少し控えたいが、次の選挙がちらつく。年2回の活動報告発行を1回に減らし、その分、SNSを活用する。昨年11月からは週末、知人の飲食店で配膳のアルバイトを始めた。工夫しながら生活と議員活動の両立を図る。

 議会では自民党系の最大会派に所属する。先輩議員に学びながら、自らの目標として、男女平等と性の多様性を尊重するパートナーシップ条例の制定を掲げる。

 ざっとこんな感じだ。人、組織、地域をつなげる活動は社会起業家に通じるように思える。

 選挙をめぐっては議員の人材難に加え、低投票率という長年の課題がある。この二つが常態化すると、組織票を持つ人だけが当選する傾向がより強まる。その結果、新陳代謝が進まず、議員間に競争原理が働かなくなってしまう。

 この負のスパイラルから抜け出すにはどうすればいいか。与えられた選択肢の中で選ぶのではなく、有権者自身が志を持って選挙の枠組みを作り上げていく。そんな胎動を期待し、地方政治の1年を見つめていきたい。(吉木正彦)

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