「穏やかな年に」との願いを込めて新年を迎えたはずだったが、イランと米国の衝突という近年にない緊張の中で2020年が始まった。戦争という最悪の事態は避けられそうだが、予断を許さない◆どこか茶番の様相もある。トランプ米大統領の「一年の計」は11月の大統領選での再選だ。そう考えるとイランを標的に「強い大統領」の演出はしても、混乱が長引けば選挙が危うくなる。一方のイランは米国の軍事力には及ばない。ミサイルを発射したものの、外れるように狙ったといわれ、こちらも戦争は望んでいないことが伝わる◆問題は日本だ。トランプ氏はホルムズ海峡を渡る石油タンカーをめぐり「自国の船舶は自国で守れ」と主張。米国は国内の石油生産力がアップして中東依存が低くなっているが、日本はそうはいかない。海上自衛隊が中東に派遣されるのはこのためだ◆地図を広げてみると中東の複雑さが少なからず見えてくる。カルロス・ゴーン被告が逃亡したレバノン。その隣にシリア、シリアの隣にイラクがある。イラクに隣接するのがイランだ。イランとサウジアラビアの間にホルムズ海峡に通じるペルシャ湾がある◆緊迫する中東への訪問を安倍晋三首相は延期すると言っていたが、一転、実施することに。子分は行くのに親分は行かないのかとの批判が聞こえたか。(丸)

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