2020年の日本経済は、消費税増税の影響を克服して安定成長を実現できるかどうかが焦点となりそうだ。海外にも米中貿易摩擦などのリスクが残っており、悪条件が重なれば景気が失速する懸念は小さくない。十分な警戒が必要だ。

 19年は前半に比較的高い成長を達成したが、10月の消費税率10%への引き上げで景気に変調が生じた。増税直前の7~9月期の実質国内総生産(GDP)は、駆け込み需要があって年率換算1・8%増となったが、10月以降は経済指標が軒並み悪化しており、10~12月期はマイナス成長に転落したとみられる。

 気になるのは、前回14年4月の消費税増税時と比べて消費の駆け込み需要が小規模だったにもかかわらず、10月からの反動減が大きいことだ。消費者が予想以上に節約志向を強めているのかもしれない。20年の景気を占う上で最も重要なのは、落ち込んだ消費がどれだけ回復するかである。

 当面注目されるのは、軽減税率やキャッシュレス決済のポイント還元など消費税増税の負担軽減策と、昨年12月に決定した経済対策の効果だ。しかし、負担軽減策には相当の効果があるといわれる一方で、ポイント還元は今年6月末で終了する。経済対策も、建設業の人手不足で公共事業の執行が遅れれば、額面通りの効果は上がらない。いずれも景気を押し上げる力ははっきりしない。

 夏には東京五輪・パラリンピックが開催される。建設関連の需要はすでにピークを越えているとみられるが、新たに国内外の観光客の増加による消費拡大などの特需が予想される。ただ、五輪後はその反動が出るはずで、息の長い消費活性化につながるかは疑問だ。

 減速が続く世界経済には明るさも見えてきたが、解消されていない不確実性がいくつもある。

 最大の懸案は米中貿易摩擦だ。米中両国は昨年12月に貿易協議の「第1段階」の合意に達したが、一時休戦という性格が強く、貿易摩擦が解決に向かうと期待するのは早すぎるだろう。もし摩擦が再燃すれば、貿易の縮小を通じて世界経済に打撃を与える。

 米中貿易摩擦が良い方向に向かったとしても、中国経済自体の減速が大きな懸念材料となる。今年の成長率は6%を割るという予想が多い。中国政府は財政・金融政策で景気の下支えを図る方針だが、景気が失速すれば、やはり世界経済の足を引っ張る。

 消費税増税の影響が一時的なものにとどまればよいが、仮に消費の冷え込みが長期化した場合、そこに海外リスクの顕在化が重なれば、景気が腰折れする可能性が強まる。ただでさえ足腰が弱っている日本経済には大きな試練となる。

 政府、日銀は最悪の状況を想定し、機敏な政策対応ができる準備をしておかなければならない。

 上場企業の20年3月期の純利益は2年連続で減益になる見通しだが、積み上げた内部留保は巨額に達し、賃上げの余力はまだ十分にあるはずだ。経営側にはできる限りの賃上げと積極的な設備投資を求めたい。

 消費税増税の影響を除く物価上昇率は鈍化しており、デフレ再来が現実味を増しつつある。景気失速を回避できなければ、日本経済は再び長期低迷に突入するかもしれない。それだけの危機感を持って臨みたい。(共同通信・柳沼勇弥)

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